マギ

□明るい未来
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いつもいつも私から離れなかった。どれだけ泣いても離れなかった。

どうして?ねぇどうして?何で私は自由になれないの?

頭を過るのは苦しい過去。身体中が痛い。逃げようとしたら必ず捕まって、絶望が襲う。

私は何もしてないよ。悪いことなんてしてないのに、何でこんなことするの?一生こんな痛い思いして人間らしい生活なんてさせてもらえないのかな。私だって人間なのに。





「……ん」

朝日が眩しくて目を開けた。淡い空色が窓から窺えた。まだはっきりしない頭を持ち上げて身を起こすと自分が布団の上に居ることがわかった。

ここはどこだろう。

ぼやけた視界を精一杯駆使して辺りを見渡すとそこはどうやら部屋の中のようだ。そして周りにはまだ寝ている人達。見たことはある人達だった。同じ奴隷の人だったはずだ。そこで完全に目が覚めた。

そうだ。昨日私達奴隷から解放されたんだ。じゃあここはあの後割り振られた部屋の中なんだ。

取り敢えず部屋の外に出てみようと布団から出て立った。ドアの方に向かって歩く度に身の軽さを感じる。足を見ると昨日まであった足枷が外されていた。昨日外してもらった足枷。歩くとジャラジャラと音をたてていたのに驚くほど静かな足音しか出なかった。

自由になれたんだ。

そう思うと視界が滲んだ。そのまま頬に流れ落ちる。私が知っている涙は悲しいときにしか流れないものだったのに。嬉しいときにも泣くことは出来るんだとわかったとき何故だかもっと涙が出た。それを腕で拭ってドアを開ける。大人の人を探そうと思い廊下を歩いた。

「お?昨日の赤髪の子じゃないか」

後ろから声をかけられ驚いて振り返る。あ、この人は……昨日私の足枷を外してくれた方だ。

「……おはようございます」

「おはよう。どうしたんだい?こんなところで」

「えっと……私達これからどうなるのかを聞きに行こうとしてました」

解放されたのは心の底から嬉しいけれど、また利用されたりするかもしれない。私達は本当に自由になれるのか、それを聞きに行こうとしていた。






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