結界師
□雨、襲来。
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その日は午後から突然の雨だった。しかも結構豪雨で風もある。
うわー……雨降ってるよ、朝あんなに晴れてたのにー。風も強いな、ビューとか言っちゃってるよビューって。あーもう面倒くせえ。分かるか雨。君が降っちゃうとなとても面倒くさくて迷惑だと思う奴もいるんだよ。これで分かったか雨。だから止んでくれよ。分かったよな雨。
いつまでも続く雨音と風の音を聞きながら良守は眠りについた。
「墨村……さっきまで起きてたのに寝るなよ。一応授業中だ」
「いてっ!ちょっと先生!いきなり教科書で叩かないでください!」
「なら一番前の真ん中の席で寝ようとするな!」
そう言って先生が黒板に向かった時、夜には止んでてほしいと願いながらまた眠りについた。
「良守」
授業が終わった後珍しく影宮閃が良守の席に来た。今日は雨のため屋上には行けず閃も授業を受けていた。
「……どうした影宮」
枕に埋めていた顔をあげる。
「お前寝る前に窓の外見て盛大なため息ついたろ?」
「盛大ってなんだよ……」
記憶にないなー、と思いつつ眠かった為そこらの記憶は曖昧だ。
「まあ夜のこともあるだろうけど良守もしかして」
傘忘れたのか?
その問いに静かに肯定の意味でうなずいた。
「……やっぱり止まねーよな……」
午後の授業も終わり下校しようとする生徒が靴箱の前で群れた。雨だから特に混む。
影宮が言うには天気予報で午後から90%の確率で雨と出ていたらしい。知るかよ朝はテレビ見ないんだから。
しかも影宮は影宮でじゃあな、と言って傘さして帰っていくし。おい、俺の状況知っててそれはねーだろ!
走って帰るか……
夜の雨天時にやる対策をしようと考えてみたが周りから見たら不自然すぎるのでやめた。
玄関を出て良守はダッシュした。