虹色の探求
□Stage.2
2ページ/9ページ
【???】
「ふ、ふぇ……へ…っくしょんっ!!」
薄暗い部屋に、鼻をすする音が響く。
その直後。はあぁ…と盛大にため息を吐きながら、黒服の女性が立ち上がった。
スラッとした足を斜めに出し、腕を組んで一点を見下ろす。
「ったく…持ち場で居眠りしてた挙げ句、凍らされて風邪引くなんて…あんた、とんだマヌケね」
「いっ…居眠りじゃないやい!昼寝してただけだしっ!」
それに反論するのは、黒い翼を生やした子供。
背の高い女性と比べると、その身長差はかなりのものだ。
男の子はそんな女性を睨み上げ、裾の長い服を踏まないようにしつつも、地団駄を踏んで両の拳を振り回す。
「幼児じゃあるまいし、いい加減その習慣やめなさいよ」
「う、うるさいっ!この鬼ババ!」
女性が呆れたように言うと、彼は反抗的に言い返す。
しかしそんな態度にも慣れているのか、彼女は暴言を無視して一枚の紙と薬瓶を取り出した。
「次、風の国へ行きなさいって。これ飲んだら早く行くのよ」
男の子に紙と瓶を押し付けると、女性はそれだけ言い残して部屋を出ようと歩き出す。
扉を閉める直前、ニヤリ…と挑発的な笑みを見せた。
「…お大事に、蟻さん」
それを聞くと、男の子は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「おっ…おいらはアルイー・サンだッ!!……っくしゅん!」
.