●book●
□green tea.
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「はい、ジローさん」
コトッ
「ありがとうございます」
ミミコからお茶を受け取る。
湯気立つその香りに鼻を思わず寄せる。
「ん〜♪・・ん?いつもと違う茶葉ですね」
「あぁっやっぱり分かります〜?」
嬉しそうにミミコは言う。
コポコポと自分の分のお茶を注ぐ。
ジローは味を確かめるようにお茶をすすった。
ズズッ
「ふぅ・・・ええ。いつもより高級です」
「サユカさんから頂いた茶葉なの」
「はい?」
「コタロウ君と遊びに伺ったことがあって」
湯飲みを手にジローの隣に座ったミミコ。
ふたりの目の前には窓があり、窓からは月が見えた。
コタロウはもう寝ていて、ふたりっきりだ。
「ゼルマンさんのために買ったらしいけど、なんか緑茶より紅茶がよかったみたいで」
飲む人がいないから貰ってくれる?と言われてねー、と言いお茶を口にするミミコ。
ズズッとお茶をすすり、ほーっと息をつき、
「あぁ、ホントおいしい♪この味知っちゃったら、他の茶葉で飲めないわね」
「ふたりで行ったんですか?いつのまに・・・」