●book2●
□もしも夜をともにしたならば、
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『あなたのために。貴方の側にいつもいようとそう誓った。
私は彼女の護衛者。彼女の子。
あなたは彼女の友、そして私の大切な人、』
彼のその言葉を沈みゆく意識のなかで聞いた。
隣で眠るジローの頬をそっと撫でる。こんな無防備でベッドに眠る、そんな姿を見るのは初めてだった。
いや、こうしてベッドを共にすることも初めてで・・・
突つかれた彼の頬は弛緩と緊張を繰り返した。唇から唸るような声が漏れる。
そして開く瞼。
「おはよう、ジローさん」
「・・・・・・おはようございます」
再び閉じかける瞼を必死に押し上げて。彼の双眸とかち合う。
真っ直ぐな彼の黒い長髪が、シーツの上でさらりと流れた。
「ミミコさん?」
彼に向けられたあたしの眼差しに不信感を持った彼。
不安そうに見つめる切れ長の黒い瞳が揺れた。
「ジローさん。大好き」
身体を預ければ自然と背中に回る裸の腕が心地よい。
「わたしもです。ミミコさん」
耳元で囁かれた言葉を聴きながらあたしは目を閉じた。
(このままふたりで溶け合ってしまえたら良いのに)
ふわりと押し倒され、あたしはもう一度彼の熱を受け入れた。
朝焼けを拝むのにはまだ早い。