雲一小説

□イベントは型破りでなんぼ!
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秋。
多くの学校が文化祭を行う季節。
神龍寺学院も例外ではなかった。
もちろん部ごとの出し物のお決まりだった。

「けどよー」
気だるいオーラを出したゴクウが呟いた。
「毎回毎回公開練習ってのも、芸が無いよな」
アメフト部は今まで公開練習という形をとっていた。アメフト部にとって秋は大会の時期でもある。あまり手の込んだことは出来ないし、アメフトというスポーツ自身珍しいものだったから、今まではそれでも良かったのだが、今年は泥門に敗れて、今のところはゆったりしてるし。ジャリプロやらアイシールド21やらの出現で近頃はアメフトもマイナーではなくなってきている。

「けど、だからって何するんだよ?」
同じく気だるそうなサゴジョーが言った。
今からでは、やはり手の込んだものは出来ない。
その時、廊下の先から一休の声がした。
『雲水さーん、お腹すきましたねー』
「出店でも出すか?」
「何の?」
「たいていのやつは他のところがやっているぞ」
定番メニューは早い者勝ちだった。加えて、肉類が入るものは方針上禁止されている。
また一休の声がした。
『そういえば、この前作ってくれたカレー、鬼旨かったっス!』
「野菜カレーでも出すか」
「精進カレーな」


というわけで、
「今年は公開練習兼、カレー出店をすることに決定した」
竜崎が提出書類に書き込んだ。
「どっちか片方でもよかったんじゃねーのか?」
「参加練習で腹空かせて、売り上げのばすんだよ」
店を立ち上げるなら、やはり売り上げが欲しいらしい
「カレーについての責任者は雲水でいいか?」
「構いませんが。なんで自分が?」
「一休からお墨付きが出たから」
「はい!雲水さんのカレーは鬼旨いっすよ!というか、雲水さんは何作っても旨いっすよ!」
一休が鼻息荒く自慢した。
「売り子頭はアタシに任せて!!」
サンゾーが手を挙げた。
「メイドはするなよ」
すかさずハッカイが言う。
「えー?」
「えーじゃない」
「…そうね。一度着てみたいと思ってたけど、今じゃあ文化祭にメイドも新鮮みがないわね」
「というか、うちに似合わないだろ」
「てゆうか、お前に似合わない」
「何よ?」
サンゾーのこめかみに青筋が浮かんだ。
しかし、サンゾーななにやら考え込んだ。
「一休ちゃんも借りていい?」
一休の肩を引き寄せた。
「いいぞ」
「本人に返事させて下さい!」
一休が勝手に返事をしたサゴジョーに突っ込んだ。
「……あと、弥勒ちゃんも」
「は?」
どうやら何か企んでいるらしい。
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