雲一小説 その2

□Fast LIP
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そのまた次の夜。
今度はちゃんと雲水が起きている時に、ノックの音がした。
開けると、やはり一休だった。
「どうした?」
「あ、あの……」
一休は裾のところで手をいじりながら、雲水をチラチラと見上げていた。
「今日、雲水さんと、一緒に寝ちゃ…ダメっすか?」
周りが静かだったため、やっと聞けるくらいの声だった。
「あ、あの最近恐い夢見るようになっちゃって……でも、他の奴にこんなこと頼めないし…で、あの、ここに来たんすけど…」
いろいろ理由を考えてきたのだろう。
耳を赤くしながら、途切れ途切れに伝えてきた。
雲水は口を挟まず、じっと一休を見ていた。
一緒に寝るとは、ずいぶん大胆な行動に出たな。
一休の行動力に感心したほどだった。
「ダメ…すか?」
一休は不安そうに見上げて、返事を待った。
「……わかった。おいで」
そう言うと、安心した顔になった。
一休を部屋に入れ、押し入れを開けた。

電気を消した中、二人は一緒の布団に寝ていた。
仰向けの雲水のすぐ隣に一休はいた。
雲水は目を閉じ、静かに呼吸を繰り返していたが、まだ眠ってはいなかった。
それは一休も同じだとわかった。
しばらくして、一休がもぞもぞと動き出した。
肘を立て、自分を見ているのを雲水は感じた。
しかし、反応を返さないでいると、眠っていると思ったのだろう。ゆっくり雲水の首に腕を回してきた。
そして、頬擦りとまではいかないが、頬を寄せてきた。
人とこんなに顔を寄せるのは初めてだな。
ふと、一休は顔だけを起こした。
そして、一昨夜と同じやわらかいものが雲水の唇を塞いだ。
今日はくっつけるだけでなく、わずかに角度を変えたりしてきた。
雲水はキスを返したくなるのをひとまず我慢し、ゆっくり腕を上げて一休の後頭部に持っていった。
それに驚いた一休が体を離そうとしたが、雲水は手に力を入れ、それを止めた。
「ん…っ」
雲水はそのまま唇を離さずに体を起こし、今度は自分が一休に覆いかぶさった。
「うんす…ん…」
もう片手も一休の頬に添え、唇をゆっくり味わった。
一休は力の入った手で雲水の服を掴んでいたが、引き離そうとかの抵抗の力ではなかった。
最後に吸って、音をたてながら唇を離した。
もう眼は暗さに慣れていたので、一休の上気した顔が見えた。
「雲水さ…」
戸惑いや興奮の入り交じった顔で雲水を見てきた。
「一休」
その頭をゆっくりと撫でながら話し掛けた。
「一昨日、何で俺にキスした?」
「!?」
一休は目を丸くした。
「雲水さん、お、起きてたんスか?」
こくりと目をそらさないまま、頷いた。
「なんでだ?一休」
一休は唇に力を入れて、引きつらせていた。
「だって……この前の手のキスで…感触が忘れられなくて…だから、口でやったら……どうかな…って…」
雲水の顔が近くで、一休は思わず顔を反らした。
「本当に、好奇心だけか?」
また頭を撫でた。
「え?だって」
「俺のこと、好きになったんじゃないのか?」
「え!?」
一休は赤い顔をさらに赤くした。
「ちょっ…何言って…」
「この前の手のキスから、俺のことが気になるんだろ?」
「あ、う…でも」
「俺がそうだったからな」
「え…えぇ!?」
雲水は熱くなった一休の頬を指で撫でた。
「だから、お前も早く自分の気持ちに気付け」

そしたら俺達、両想いだ。



後記。
アブネー!
このまま裏逝くとこだった!
いや、イってもいいのか?
いまだにアンケの一位は裏だし

同アンケの『寝ている雲水に、一休がキスする』というコメントきを元に書きました。

雲水に攻めっ気出させると、今までと別人になる…
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