お話

□1話
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千鶴/薫「「かぁしゃまー!」」
母「あらあら二人とも可愛い冠をしてるのね」
薫「つくりっこしたよー!」
千鶴「かおるがね、おしえてくりぇたの!」
母「あらまぁ素敵」

きゃんきゃんと、母様に抱きつく。薫と2人で花冠を着けて。
…うんもう慣れました。
私、雪村千鶴は確かに死んだ筈で。大阪城からの帰りだったと思う。でも気がついたら、赤ん坊になっていた。最初は、それはそれは戸惑って泣きわめいたものだった。けれど、薫がとなりにいて、母様と父様らしき方がいて、赤ん坊に戻った様だときづいたら、ふっと落ち着けた。
何はともあれ、生きて、やり直せるようだったから。
というわけで、今は子供として、覚えていなかった幼少期を楽しんでいる。
でも覚えていなかったとはいえ、懐かしさなんかはあるので、なんとなく覚えていることもあるみたい。やっぱり大事なじかんだったんだなぁ、と遠い目をしてみたり。
そう思うと前の私は、薫に相当辛い思いをさせていたのでしょう。薫と私はいつも一緒にいる。双子といえ、薫のほうが少しだけお兄さんなので少しのことでも気にかけてくれる。正直、とても可愛い。同んなじ顔なんだとか考えると不思議な感じがするけど、とにかく薫はとても可愛い。だからたまに前の私の記憶を使って難しいことを言って困らせるのは悪くない。そう、可愛いんだもの…!

薫「ちーづ、おててあらお、おやつだって!」
千鶴「うん!」

薫の言葉で回想を終え、薫と手を繋いで水場に走る。
幼少期の明確な記憶がない私には、いつ人間が里を襲うのかわからない。けど、今は、薫の笑顔を、母様と父様、里の皆の笑顔を見ながらくらしたい…。
まぁこの願いがすぐさまこわされるとは、私には思いもよらなかったのだけど。
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