短中編
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オマケ
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『大分暖かくなったね』
「3月だしな。あれからもう半年か…」
『もうそんなに経つんだ…』
「そういや、あの時何で飛び降りなんてしたんだ?結局聞いてなかったけど」
『あれは…その前の事件のことでね、文句言われちゃったの。あの時の私、疲れちゃってたのかな…いなければよかったなんて言われて、やっと答えが見つかったって気になった』
「…そうだったのか」
『でもね、私が飛び降りる直前その子、泣きそうな顔してた。目の前で死のうとするなんて思わなかったんだろうね…だからあの子を憎んだことはないよ。あの子はただ友達が傷付けられて悲しかっただけだし、私は入院したけどそれがなかったら、御幸君の気持ちを聞くこともなかった。なるようになった事だと思うの』
「千歳は…優しいな」
『私は優しくなんてないよ。悲観したって、憎んだって過去が変わる訳じゃない。そんな事で後ろ向きな感情を膨らますくらいなら、この先の幸せのためにあるべきものだったって信じた方が良いでしょ?』
「…そっか。そうだよな、あれがあったから俺は千歳に好きだって言えた。きっかけになってたんだな」
『そうだよ。だからね、あの時の事も大事な思い出。これからはその思い出をたくさん積み重ねて行こう?二人ならきっと幸せだから』
「ああ、この先ずっと。二人で幸せになろうな」
『…うん』
「(あれ、これってプロポーズになんのか!?うわハズ!)」
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退院後
「千歳」
『本当に来たんだ、御幸君』
「当たり前。言いたいことあるって言っただろ?」
『そうだね。その言いたいことって?』
「えっと、…俺、千歳が好きだ」
『…うん、知ってる』
「へ?」
『ありがとう、御幸君。私なんかを好きになってくれて』
「…なんかじゃねぇよ」
『嬉しかった。そう言ってくれたのも、ずっと手を握っててくれたのも』
「え、何で知って…?」
『何て言うのかな…そこに居たの、私が。意識だけだったけど…だからね、全部聞こえてたよ』
「…よく分かんねぇ…」
『私も。でもね、聞こえてたから…御幸君の言葉を聞けたから生きたいって思えた。戻らなきゃって思ったの』
「それって…」
『好きだったから…御幸君のこと、ずっと前から好きだったから』
「!千歳」
『好きだよ、御幸君』
「俺も」
『よく考えたら路上で何やってるんだろう、私達恥ずかしいね』
「照れもせず恥ずかしいとかやめて(恥ずかしくなってきた)」
『(顔真っ赤…)』
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今度こそ終わり