DMC小説(短編)

□FROM AtoZ(DN)
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ブロロロ…


遠くから聞こえ始めた聞き慣れたバイクのマフラー音が、事務所の表に停まった気配に

ダンテは眺めていた雑誌をパサッと机上に投げ出した

「ピザ屋にしては早いと思ったけどな…」
軽々しいピザ屋のバイクとは違うそれは、明らかにレディのモノだ


また面倒な依頼でも持ち込みに来たのだろう、と
入り口の扉へ目をやるも、なかなかレディは入って来ない



不信に思ったダンテが僅かに首を傾げると

閉ざされたままの扉の向こうから、漸くレディの声が聞こえた

『…ダンテ!ちょっとここ開けてくれない?』

「何のジョークだ?鍵を掛けた覚えはないぜ」

『手が塞がってるの!いいから早く開けなさいよダンテ、…後悔するわよ』

「…どんな後悔だ」
やれやれ、と立ち上がり入り口へと向かうダンテに

扉の向こうからレディは尚も『早く早く』だの、『貴方にお土産があって』だのと

妙なテンションで話しかけている

ダンテは嫌な胸騒ぎを覚えつつも
何度となく取り替えた重厚な扉に手をかけた


――ギィィ



先月交換した扉がやたらホラーな音を立てるのも、ある種のご愛嬌だ


「レディ、一体何だってん――…」



「ピザをお持ちしましたぁぁぁぁあ!」

「ΣΣ!!!」



ゴキィッ


視界一杯に拡がったモノが、ブーツの底だとダンテが気づいた時
何処かが確実に折れる不快音と共に
すでに彼の身体は遥か後方へと吹き飛び

事務所の奥に鎮座した机を越えて壁へと見事にぶち当たった



パラパラと剥がれ落ちる壁の破片を頭に被りながら、ダンテは軽く目眩を覚える

「…な、気のせい、かデジャヴー…が……っ」


「現実逃避してんなよ、オッサン」


間髪入れず突っ込みを入れる声
その主が机越しにダンテを覗き込んだ


「高さといい、破壊力といい、申し分ないドロップキックね」
レディは変なとこに感心を持ちつつ、隣で服の埃を払う銀髪の少年に微笑む



「感動の再会に、随分なご挨拶だな…坊や……いつからピザ屋になった?」

「俺のピザは高いぞオッサン…それと『坊や』はやめろ」
本当に手にしたピザの箱を机にドン、と置き
パキッ、と指を鳴らしてダンテを見下ろすのは



かの地フォルトナで別れてから
実に半年ぶりの再会となる

『ダンテ大好きッコ、ネロだった――』


「F××k変態オヤジが!!変な妄想ナレーション勝手につけてんじゃねぇ!!」
「うぉあああっ!」
思わずバスターでダンテを投げ飛ばすネロ


ガシャァァァン!と
ビリヤード台にクリアヒットしたダンテを尻目に
フン、と鼻を鳴らすネロであったが


何故か
異様に赤くなった頬を隠すように、2人から顔をそむけてしまう


それを見て


<あら…『ダンテ大好きッコ』、は本当みたいね…フフフフ>

レディは独り、黒い笑みを浮かべるのであった



「オイ、変なちょっかい出すなよレディ」
「なんのこと★?」

いつの間にか隣に仁王立ちするダンテを見上げ、レディは貼り付けたような満面スマイルを見せる

「そもそも、何でお前がアイツと一緒なんだレディ?まさかお前、拉致っt」

「貴方と同類にしないでくれる『変態オヤジ』」


笑いながらヒラヒラと手を振るレディに
リアルインパクトのひとつもお見舞いしたくなったのはダンテだけの秘密だ

女には手をあげないダンテも、成り行きとはいえ
レディとは一度戦っている
従って目の前の
<最凶悪魔モドキ>だけは例外だと思っていた


「やーね、怖い顔して…ネロが見てるわよ?」
「…っ!」
「ウ・ソ(笑)」




数秒後、凄まじい銃撃戦のあと
カリーナ=アンのミサイルによって事務所の天井に大きな穴が空き


調度帰ってきたトリッシュに怒りのスパーダ斬撃をダンテが食らった事で



漸く事態は収拾された






「それで……どういった経緯で貴方達は一緒にここへきたのかしら?」

トリッシュが睨む先でホウキをかけていたダンテは肩を竦める
「最初から俺はそれを聞いてんだぜ?なのにレディが――…」

「黙って掃く…貴方の事務所でしょダンテ」

「相棒じゃなかったのかトリッシュ」

「それとこれとは別」


ピシャリ、と言い放ったトリッシュにハイハイ、と適当な返事をして
ダンテはソファに座るネロへ振り向いた

「なぁ、坊やは俺に会いに来たんだよな?遥々フォルトナからピザを届けにきただけじゃないだろ――」

あくまでからかい口調で話すダンテに
ネロはキッと睨みを効かせるが

「……会いに来たら悪いのかよ…」
と呟くと
拗ねたように口を尖らせ、また顔を逸らしてしまった


ダ<ぬぁっっその顔は昼間から反則だぜ坊や!>

トリ<・・・スパーダの血はやっぱり特殊ね…>

レ<フフフフ良いネタが★…>


3人がそれぞれの反応を見せる中


ネロはここに至るまでの
とてつもなく長い経緯を、渋々と
話し始めるのだった



Next>2




≡アトガキ≡≡≡≡≡

ピザにこだわる理由は特になかったり(ぇ
ピュアなラブストーリーになるはずが、何故かギャグになる罠
ネロがあまり前に出ていない!!
懲りずに次へ続きます

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