DMC小説(短編)

□ランクはS☆(4D×N)
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☆お馬鹿なティータイム、ネロバージョン。












「あーーん」



目の前に差し出されたスプーンを横目で見、ネロはあかさまに嫌なものを見るような表情を浮かべた


「ほら、坊や――遠慮すんな」
真剣な顔でスプーンを差し出すダンテ

しかし、その口端にたっぷりとついた白いクリームがあまりに情けない…ネロは痛すぎるダメな大人の姿に呆れて皮肉のひとつも出せなかった



昼下がりのカフェテリア


眩しすぎる美貌の男が2人陣取るそのテーブルだけがこの世ならぬ異様な空気を放ち
完璧に周囲から浮いているのを本人たちは、知らない


かたやグレープフルーツジュースを飲む若者の向かい側で
やたらデカいストロベリーサンデーを一心不乱に掻き込む大の男
それは遥か昔から彼の大好物だった



ダンテはネロの憐れみが込められた視線も構わず、スプーンを更に近づけた

「ほら、あーーんって食えよ…坊やだって甘いの好きだろうが」
「坊やはやめろ、そして出来れば死んでくれオッサン」
「ΣWhat!?それは会話のキャッチボールとして如何なものかと思うぜ坊…ネロ」
「如何なのはアンタの頭だ」
「オイ、歳上は敬えよ…フルーツジュースなんて飲んでるお前もたいして変わらないだろ?」
「その食い物に罪はない、良い歳してクリームまみれのオッサンなんて誰も見たくねーよ」
「……坊やにはまだ解らない世界だな」
「坊やはやめろっつってんだろが!そしてクリームを拭け!」

ダンテは溶けそうなアイスの乗ったスプーンをパクっと口に突っ込むと
さも不満そうに片肘をテーブルについて、プイッとそっぽを向いた


「…ハイハイ、ただ俺はこの最高に幸せ〜な気分を、愛する人間と共に共有したかっただけなんだけどな」
「………」

到底独り言とは言えない声で呟きながら、ダンテは横を向いたまま
スプーンと口を動かす

「一番大好きなモノを一番愛する人間と一緒に食べる、それが何気ない幸せなんだろうになぁ…」

「………」

「この純粋な愛情が伝わらないなんて――もしかしたら俺は愛されてなんかいない、独りよがりの愚かな男なの「だぁぁぁ!煩いオッサンだな!!」


思わず声を上げるネロ
その顔はハッキリ解るほど紅潮している
「こんな場所で愛だの何だのぬかすなっ!アンタには羞恥心ってのが無いのか!」
「人の独り言に文句をつけるなよ、俺は真剣に独りよがりの愛について嘆いてるんだ…届かない愛をな」

はぁ、と溜め息をつくダンテをひと睨みして
ネロは唇を噛んで何か考えるような表情を見せると


「それ、寄越せよ」
「――ネロ?」
ふてくされたようにぞんざいな仕草でいきなりダンテの腕を掴み
今まさにスプーンに乗せられたイチゴをそのまま引き寄せて自分の口に運んだ


しかし、グレープフルーツジュースを飲んでいたせいで、かなり酸味を感じてしまう
ネロはイチゴをガシガシ噛むと勢いよく飲み込んだ

「すっぱっ…これで良いんだろ!?ちょっと拒否ったくらいで、んな勘違いしてんなよオッサンっ」
「勘違い…何が勘違いなんだ?」

ダンテはニヤニヤと笑みを浮かべながら、含みのあるブルーアイズでネロを見つめる
わざとやっているのがネロにもバレバレだが
そんなダンテの顔に弱いネロは悔しそうに舌打ちして、横を向いてしまった

「ハハ、拗ねるなよネロ…旨かっただろ?美味しいモノは共有しなきゃな」
「ジュースのせいでやたら酸っぱいだけで、味なんか解んねーけどな」

「そりゃ残念だ、なら一瞬でそれを甘くする魔法を教えてやろうか」

ダンテは口の回りについたクリームをナプキンで拭くと口端を上げて微笑んだ

「あ?マホ…」

意味不明な言葉にダンテへ顔を向けたネロの唇を、テーブルから身を乗り出したダンテが塞ぐ

「――…っ」


既にそこには何もないはずなのに
ダンテの舌先が滑りこみ、ネロの口内を探るようにやんわり動くと―――何故か蜜のようなトロリとした甘さをハッキリ感じる

深くなる口づけに、ネロは息苦しさを覚えたが
ほんの少し離れた唇から
思わずハァ、と悩ましげな溜め息を漏らした

「――甘くなった、だろ?」
ウインクのオマケをつけて、再び唇を近づけるダンテ





だったが







「…ダァァァ―――ッイ!!!」

次の瞬間、見事なデビルブリンガーアッパーがダンテの顎を直撃し――

「Σぐわぁぁぁあっ!!」


哀れ、ダンテの身体は弧を描いて
遥か通りの向こうまで飛んで行った


ネロは渾身のアッパーに多少乱れた息を整えつつ
ゴシゴシと口元を拭う
「F××k!こ、の…エロオヤジがっっ!!昼間から盛ってんじゃねーぞ!」

あやうくダンテの巧みなキスに持っていかれそうになったのは、気のせいだと言い聞かせ
ネロは顔を真っ赤にして立ち上がると
「帰るからな!」
一言吐き捨て
カフェテリアから立ち去っていった





「―…何処かで味わったパンチだな…」

ダンテはすりすりと顎をさすりながら
やけに懐かしく感じる痛みに苦笑いし


ネロの後を追うのだった









そしてそのカフェテリアは



既に伝説となっていた
『Sランクの萌えを与えてくれる神(悪魔)』が
再び舞い降りたと



またマニアックな客が溜まる憩いの場所となるのである






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やたらデジャ・ヴーなダンテと感じやすいネロでした
キスだけでイクはずd(強制終了)

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