Be in high spirits! inかぶき町高校

□第三訓
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現れたのは入学式で話した神楽ちゃんだった。

「し、新八ィィ!!テメーの知り合いかァ!?」

「いや今日初めて会ったひ……」

「これ旨いアル!おかわりないアルカ!?」

「っま、銀さんが作ったから当然だな……って
テメ何全部食べてんのォォォォ!!?」

気付けば籠いっぱいにあったドーナツが
いつの間にか消えていた。
って手品ァァァァァァ!!?
いくらなんでも早過ぎるでしょ!?
てかあれだけの量そもそも
1人で食べれるのォ!?

「見くびってもらったら困るネ。
私があれだけでお腹を満たせると思ったら
大間違いアル!!」

「知るかァァァんなもん!!
あれ俺の夕食込みだったのに
どうしてくれんだよこのクソ尼ァ!!」

「いや、ドーナツが夕食って……
いつか身体壊しますよ。」

「いいんだよ別に。
糖分に生き糖分に死ぬんだよ俺は」

「ちっともカッコ良くないんですけどォ!!」

すると神楽ちゃんの手が
わなわなと震え始めた。

「か、神楽ちゃん…?どうしたの…」

「早くドーナツよこすアルゥゥゥゥゥ!!」

いやない袖は触れないからァァ!!
てかさっきから僕まともに
発言出来てないんですけどォ!?

「っざけんな!なんで俺がタダ飯
食わしてやらなきゃいけねーんだよ!
頼むなら材料費と人件費用意してからにしろ!」

「だってお腹すいたネーーーー!!」

そう言うとうっぷん晴らしのためか壁を蹴って
先程空けた穴をどんどん大きくしている。
……ってあれ、穴開けたのってギャグだよね!?
1コマ後には既になかったことに
なってるパターンだよね!?

「新八、現実を見ろ。
現に穴は大きくなる一方だ。」

「……いや困るのアンタですよ。」

「………………オイィィィィィ!!
立て続けになんてことしてくれてんだァ!
修理費なんて出せる余裕ねーんだけどォ!?」

「大丈夫アル!卒業と共にオジャンすれば
問題ないネ!」

「問題大ありだコノヤロー!
1つしか違わない男女が隣同士で寝てんだぞ!?
穴があるなんて知れたら噂になんだろーが!」

「それは困るネ!
こんな銀髪天パと噂になるなんて
想像しただけで寒気がするアル!!」

「こっちこそ んなこと願い下げだァ!」

「ちょっと!そんなことよりそれ以上
広がったらアパートそのものが
崩れちゃうかもしれませんよ!!」

何をどうでもいいこと
話してるんだよこの人達は!
いや、別にちょっと羨ましいとか
思った訳じゃないからね、
僕は姉上と暮らせるだけ十分幸せだからね。

「……か、神楽だったっけ?
ど、ドーナツだったらまた揚げてやるから
とりあえずーそのー壁蹴るの止めようか?」

「私は空腹を満たされなければ
蹴り続けてしまう病気アル。
だから止めることは出来ないネ。」

いやどんな病気だよ!
そして未だドスンという音は鳴り止まない。

「あーわかった!んじゃあ
今日の夕飯作ってやるから!な!?
何だ、ハンバーグか!?オムライスか!?」

「……ホントアルカ!?
じゃあどっちもアル!!!!」

「ど、どっちもかー!ハハハ……
(数少ない俺の金がァァァァァァ!!)」

「ありがとアル銀ちゃん!!!」

「ぎ、銀ちゃんって……
俺一応先輩なんだけど。」

こうしてなんとかアパートの
崩壊を防ぐことができた。
二人が両極端のテンションだったことは
言うまでもないが。
てか僕結局何も得てないんですけど。
まぁ仕方ないか……

「じゃあ僕はこの辺でお暇しますね」

「あ!おい、ちょっと待て!」

「?」

すると僕の手にそっと何かを握りこませた。
……それはラッピングされたドーナツだった。

「ほら、さっき言ってた姉ちゃんの分!
これがなきゃ俺が作ったって
証拠がねーからな。
あ、ここでもたらふく食ったって
言っとけよ!?」

「は、はい!わかりました」

意外と優しいんだなこの人。
てかこの可愛らしいラッピング何!?
何でこんなの持ってるのォ!!?
無駄に女子力高いんですけどォ!!

「何か言ったか?」

「い、いえ!何も!!
あ、何か今日は色々ありがとうございました。
また機会があれば宜しく
お願いしますね、銀さん!」

「…え、いや何いきなり
フレンドリーになってんの?
ツッコミメガネから
そういうキャラに転身すんの?
高校デビューでもしたいの?」

「ちちち、違いますよ!!!
だって自分のこと銀さんって
言ったりしてるじゃないですか!
それに神楽ちゃんだって
下の名前で呼んでたから…
何か僕もよ、呼んでみよーかなって…」

「私は下の名前しか知らないからアルヨ」

「…べ、別にどう呼んだって
いいじゃないですかァ!
そんなに突っ込むところで…」

「銀ちゃんーーーーーー!!!
私のお腹が悲鳴をあげてるアルゥーー!!」

「うっせェェェェェェ!!
わ、わーったから!! すぐ作っから!!
てことで新八、姉ちゃんに
くれぐれもよろしくな!!
って壁壊すなオメッ!……」

なんか僕凄いなおざりな感じが
するんですけど。
…いや、銀さんこそ頑張って下さい。
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