Be in high spirits! inかぶき町高校

□第二訓
1ページ/3ページ


姉上は入学式の片付けを
しなければならないということで、
僕は1人帰路を歩んでいた。

どうしよ…………
ほんとに僕上手くやっていけるかな……
でも姉上には迷惑かけたくないし、
……はぁ。

俯いて歩いていると突然何かにぶつかった。

「あっ!あ、すみませんでした。」

「オイ、ちょっと待てやコラァ」

「え……?」

な、なんだか嫌な予感が……。

恐る恐る顔を上げてみると
北〇の拳のモブにでも出てきそうな
不良達が7人程。

「テ、テメェェ!!
兄貴がモブや思うとるやろォォォ!!
兄貴はなァ!
ほんまはKINGぐらい強いんやぞォ!?
わかっとるんかあ゛ぁ゙!!?」

「いやKINGって話の序盤の序盤で
ケンシロウに瞬殺された
かませやろォがァァ!!
お前俺のこと舐めのんのかァ!!?
せめてラオウやろラオウゥゥゥ!」

「ラオウならこんなメガネに絡まずに
早くこの街のテッペン取れやァァ!!」

なんなんだこの人達。
てか一番兄貴分乏しめてるのって
あの子分っぽい人だよね!!?
僕モブっぽいなんて一言も
言ってませんけどォ!!?
誤解してるかもしれないけど
さっきのはナレーターとして
言っただけだからね!?
決して僕の見た感想じゃないからねェ!?

突如東京のど真ん中で広げられた
関西弁の口論に戸惑いながらも、
その場を立ち去ろうとすると…

「待てや兄ちゃん、
まだ話は終わっとらんぞォ?
あんたがぶつかってきたおかげで
肋骨いってもうたわァ。
慰謝料払ってもらわななァ!!」

「そやそやァ!とりあえず
今持ってる全財産渡してもらおかァ!」

「え、ええェェ!!
そそそんな…
今日お金何も持ってないですよ!! 」

「ッチ、この貧乏野郎が。
しゃーないなぁ、その代わりに
俺と同じ思いさせてやるわ。感謝せーよ。」

「いやお互いぶつかった時点で既に
同じ思いしてるよねェェ!!!」

「屁理屈はええねんこの糞餓鬼がァ!
それともなんや?家族に借金
背負わせたいんか?あ゛ぁ゙!!?」

「しゃ、借金…」

僕の家にあまり余裕はない。
父親は海外赴任と聞こえはいいが
実態は上司の虐めによりアフリカに
飛ばされただけだ。勿論、給料も少ない。
姉上だって母親に変わって
家事全般(料理を除く)任せきっているのだ。
なのに…これ以上苦労は…

「ぼ、僕なんでもしますんで!!
どうか…家族だけは!!」

「物分かりいーじゃねーか、
でも金のない奴には制裁を与えなきゃなァ?
ゥオラァァァァァ!!」

…あぁ、こんな時はいつも
姉上が追い払ってくれたっけ。
いつも守られっぱなしだったんだな〜
ハハッ、情けないなぁ…男なのに。
ってあれ、よく考えたら
この人達どうやって僕に
借金なすりつけるんだろ…?
あーーー!!僕のバカァァ!!!

目を瞑って身構えていたが
いくら時間が経って
も拳が届くことはなかった。

「オイオイ、テメーらこんな弱っちいやつ
いじめて楽しんでるんですか?
悲しい青春だなァオイ?」

あれ……?
目を開けてみると
銀髪の男が奴の右手を押さえていた。
って銀髪って…ま、まさか朝の!?

「なんや、お前。 そのメガネの友達かァ?
邪魔するなら二人ともぶっ殺すぞォ?」

「ハァ?知らねーよこんな奴。
ただお宅らがあまりにも可笑しくて
からかいたくなってよ…ププッ」

人数的に明らかに不利にも関わらず、
彼は余裕の表情で笑っていた。

「お前ェ!!この状況わかっとんのかァ!?
7対2やぞ7対2ィ!!
しかもそのメガネは使いもんに
ならなさそうやしなァ、
土下座して謝んなら今の内やぞォ!!?」

「そのセリフ、
そっくりそのまま返してやるよ。」

「な、なんやとォ!!舐めとんのかァ!?」

「え?その通りだけど?」

「くっ…テメーら!!やっちまえェェ!!」

「「「ウオオオオッッッッ!!!!!」」」



勝負は一瞬だった。
一人目の拳をよけるやいなや、
腹に一発決めてその体を周りに投げつけて
…後はもう目が追いつけなかった。

説明がめんどくさかったのではなく
それほどの速さで倒していったのだ。
断じて表現力がなかったわけではない。

1人残っていた兄貴と呼ばれる男は
脅えた目で事の始終を眺めていた。

「お前…ま、まさか…伝説の不良の白…」

「さぁて?どうだろーなァ
それより後はお前さんだけだぜ、
ラオウさんよォ?」

「ヒ、ヒィィィ!!
すいませんでしたァァァァ!!」

あまりの強さに僕は
腰を抜かしてしまっていた。
すると……

「…あーそこのメガネ君?
いつまでそこに座ってんの?」


「あ!いえ!…
あの、ありがとうございます!」

「いいよ別にー
パフェ奢ってもらうしな。」

「はい…?」

気がついたら彼は僕の財布を握っていた。
い、いつの間にィィィィ!!?

「ほらー嘘はいけないよ嘘はー
ちゃんと4000円も入ってんじゃねーかァ」

「あぁ!!お通ちゃんのDVD代が…」

あ…気付いた時には遅かった。

「…お前、そんなんの為に
あんな連中に殴られかけてたの?」

「……わ、悪いですか!!?
僕はデビュー前から
追いかけてるファンなんです!!」

こうなったら仕方が無いと開き直る。
しかし僕がドルオタなんてことには
興味がないようで、財布を投げながら
何のパフェにするか悩んでいる

「あの僕奢るなんて一言もいってないんで…」

「今財布の所有権は
誰が握ってると思ってんだ?」

「……………………。」

(折角貯めたお小遣いがァァ!!!
てかこれさっきのチンピラと大して
変わらないんですけどォォォォ!!?)

結局僕はパフェを奢る
ハメになってしまった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ