しょーとなゆめ

□いつもの様に…
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アパートに着き部屋に上がる
お風呂や食事などをひと通り済ませ就寝に入ろうとする
ふとあの女の事を思い出す


ル「…あの女、どんだけ遠い学校に行くんだ?」


ルッチは自分が乗る前に既に居た女が自分よりも降りるのが遅いだなんてどれほど遠い学校に行くのか気になった


ル「…まあいいか」


ルッチはどうでもいいと思い眠りに就いた



*****



次の日の朝



ルッチはまたいつも通りに朝の支度を済ませた


ル「アイツ確か…今日も五時半発の電車で会おうって言っていたな…」


ルッチは昨日のことを思い出した
別に約束を守るつもりは無いがいつも五時半発に乗ってることは事実、意地を張ってわざと時間を遅らせる事は無い。そう思いいつもの様に駅へ向かった



プルルルルルル



《白線に電車が参ります…》




プーっガタタン、ガタタン…



電車が着き電車に乗り込む、やはり乗客は殆んど居ない。しかし昨日の女はそこに居た
女はオレに気が付くとまた間抜けな笑顔を零した


『ルッチさん、来てくれたんですね!』


ル「…別にいつも通りにこの電車に乗っただけの事だ」


『…ふふ、そうですね』


女は嬉しそうに笑う
それを見てルッチは自然と眉間に皺を寄せる


『そんな怖い顔しないでくで下さいよ、せっかくのカッコイイルッチさんが台無しです…あ、でも眉間に皺を寄せたルッチさんもカッコイイなぁ』


そう言うとまた嬉しそうに笑うもんだから一層眉間に皺を寄せてしまう


『…ルッチさんは‥今、楽しいですか?』


ルッチはいきなりの質問に驚く


ル「…別に‥楽しいだなんて考えた事も無い」


『そうですか…』


空気が重くなる


『…わたし‥』


ル「…?」


『わたし…ルッチさんには楽しく生きて欲しいです』


ル「…何だ、いきなり…自分が楽しくないみたいな言い方だな」


『…わたし、楽しくなかったですもん』


ル「…?なんで過去形なんだ」


『…いや、え、えーと、その、交際ですよ、交際!わたしったら彼氏に嫌われちゃって!自然消滅しちゃったんですよ!もー酷いですよね!せめて別れてくれとでも言ってくれれば良かったのにさ』


女は馬鹿みたいにふにゃっと笑った


ル「…阿呆らしい」


『…え?』


ル「そんな変な男のせいで自分の人生楽しくないだなんて言うのか?」


『え、うん…』


ル「もっとしっかり考えてから選べ」


『あ、はい…』


ルッチは娘にお説教でもするかの様に女に言った


『…じゃあ、ルッチさんは素敵な交際したことあるんですか?』


女は偉そうに言うルッチに聞いて見る


ル「…オレは‥無い」


『何だないんじゃないですか!どうしてそんなに偉そうに言えるんですか』


ルッチは眉間にいくつか数えきれない程の皺を寄せた


『…でも、ルッチさんならいい彼女さん見つかりますよ…』


女はそう言うとルッチに笑顔を向けた


ル「…オレは別に交際なんかしたくない」


『…どうして?』


ル「…女なんて‥必要ないからだ、泣き虫で‥弱くて…だから女なんて嫌いだ」


ルッチは女にキッパリと言った


『…そうですか‥ルッチさん、弱い人は嫌いなんですか…』


女は悲しそうに言った


ル「…」


『…じゃあ‥わたし‥嫌われちゃうな、えへへ…』


女は泣くのをこらえているのか力無く笑った


ル「…お前は弱いのか‥」


『…うん、だって…』


そう女が言いかけた時ルッチの降りる駅の名が流れる


『あ、ルッチさん降りる駅ですよ』


ル「…じゃあオレは降りるな」


『あ、うん…仕事頑張って下さい、ルッチさん』


ル「ああ…」


女はルッチに笑顔で手を振った
ルッチは電車を降りる


ル「アイツ…何を言いかけたんだ」


小さな疑問が仕事にも支障を及ぼす
ルッチは仕事も終わりまたいつもの様に駅に向かう


ル「今日はアイツのせいで一日が狂っちまった…」


ルッチは女に文句の一つでも言ってやろうと電車に乗り込む


『…あ!ルッチさん!』


今日も満員電車だ、でも人と人との隙間から小さな女がちらりと見えた
でも昨日とは違い女は座席に座っていた


『ルッチさんこっちこっち!』


女はそう言いながらオレに手招きをした
たく、そっちまで行くのにどんだけ大変だと思っているんだ


ルッチはそう思いながらも渋々人を掻き分けながら女の方へ駆け寄った


ル「…何だ」


『えへへ…ルッチさんの席取っときましたよ』


女は自分の隣をぽんぽんと叩いた


ル「…悪いな」


ルッチは朝の事の怒りも薄れ女に文句を言おうとした事を辞めることにした
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