*初恋はお兄ちゃん

□初恋はお兄ちゃん
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「あれ、ない!」
「どうしたの?」



ある日の放課後
カバンにつけていたお守りが無くなっていた



「…落とした…」
「なにか無くしたの?」
「うん、わぁ…最悪」



あたしはお兄ちゃんからもらった、お守りを落としてしまったらしい



毎日安全に過ごせるように



とお兄ちゃんがくれたのに…




「愛理、スケット団に頼んでみたらどうかな?」
「え!?」
「きっとすぐ見つかると思うよ?」



笑顔のキャプテン



「…スケット団…」




あたしは、お兄ちゃんにバレないように、スケット団の部室に向かった









ガララララッ−−−








「あれ、愛理やん。どないしたん?」
「あの…落とし物を探してほしいんだけど…」
『一体、何を落としたんだ?』
「お守りなんだけど…」
「まぁまぁ、中入って座り?今お茶いれるからな〜。ボッスン、愛理やで!お客さん!」
「わーってる、愛理話を聞く」
「うん」






スケット団の部室に入り、あたしはボッスンたちに説明をした



「…気づいたら無くなってて、学校に来た時にはあったはずなんだけど…」
「ボッスン、どうや?」
「ちょっと待ってろ…」
「…ゴーグル?」
「“集中モード”や」
「装着!」




キィィィィィィン−−−!!





『ボッスンは、ゴーグルを装着すると、かなり集中できるみたいなんだ』
「へぇ…」
「あ、終わったみたいやな」



ボッスンは、ゴーグルを外した



「ゲホガホッ!」
「なんで!?」
「久々やったもんな…」
『ひどい顔だ』
「…」




ほんとに大丈夫かな…?






「分かったぞ、愛理!!」
「えっ!?」
「お守りのありかが!!」






















「へへ〜、やっと手に入れたぜ、高橋さんのモノを!」
「おい、ジョー如月!」
「城ヶ崎だ!!!!って…スケット団!?」




学校の裏庭に1人でニヤニヤと笑っていたのは、城ヶ崎だった





「お前、手に持ってるのはなんだ?」


バッと何かを隠す城ヶ崎


「なに持ってんや!?」

ヒメコちゃんが城ヶ崎を睨む


「おぉぉにひめ!」
「おにひめ…?」
「そう、コイツは鬼姫だったんだ」
「あの有名な?」



“鬼姫”は中学時代に聞いた有名な女ヤンキーの名前だ
あまりにも強くて、男数人でも勝てないらしい


それが、ヒメコちゃん…



「死にさらせぇー!!」


ヒメコちゃんは、青いスティックを振り落とした


「すいませんでしたぁ!!!!」



土下座をした城ヶ崎のすぐ横に、スティックが振り落とされた



地面にヒビが入る




すごい…



「これだな?愛理」


城ヶ崎の手のひらには、あたしのお守りがあった




「これ!あたしのお守り!」
「やっぱりな」
「どういうことや?」
「城ヶ崎、お前キャプテンが好きだろ?」
「えっ!?なんでそれを!」
「だから、キャプテンの持ち物がほしかったんだろ?」



キャプテンのモノ…?



『…おまじないか』
「そうだ、好きな人のモノをバレずに持っていれば、両思いになれるおまじない」
「でも、なんであたしの?」
「…愛理とキャプテンは、席が近いんじゃないのか?」
「…それで!」
「あぁ、そういうことだ」




キャプテンと隣の席のあたし



だから城ヶ崎は、キャプテンのと間違ってあたしのお守りを…




「…高橋さんが好きなんだ」
「でもな、そんなことしたらあかんやろ?」
「そうだな…とにかく愛理の返すんだ」
『大事なモノらしいからな』
「あぁ、悪かった」





城ヶ崎があたしにお守りを渡す




「良かった…見つかって、良かった…」













「本当にありがとう、スケット団」
『良かったな愛理』
「またなんかあったら言ってな?」
「今度は普通に遊びに来いよ!」



スケット団の部室に戻り、あたしはお礼にクッキーを渡す





「ありがとうな、一緒に食べようや」
「ありがとう」
「うまいなこれ」
『甘い』




モグモグと食べるあたしたち






ガララララッ−−−!!





「いるか、スケット団!!」
「椿!」
「なにしに来たんや!!」
『また来たのか』




スケット団の部室に来たのは




「お兄ちゃん…」
「愛理!!」







「「お兄ちゃん!?」」






『そうだ、愛理は椿と双子の妹だ。知らなかったのか?』
「お前なんで言わねぇんだよ!」
「てか、双子かいな!!」
「…愛理、どういうことだ」
「…お兄ちゃんからもらったお守りを無くしたの、それでスケット団に頼んだの」
「すぐに見つかったぜ…てか、椿からもらったお守りだったのか」
「いやぁ〜、愛理と双子だったんかぁ…」
『オレも初めて知った時は、正直驚いた』




3人はニヤニヤしながら、お兄ちゃんを見る




「もういい…愛理!!帰るぞ!!」
「待ってお兄ちゃん!」




部室から出て行くお兄ちゃんを追って、あたしも部室を出た
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