*初恋はお兄ちゃん

□Happy Birthday!!
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◆椿side

「椿!お誕生日おめでとう!!」
「藤崎、お誕生日おめでとう」

11月11日、今日は僕らの誕生日だ


藤崎と双子だと分かって、早くも一年が経った


少しずつだが、兄弟らしくなった気がする



「椿!今日ウチくんだろ?」
「あぁ、お邪魔する」



そして今日、藤崎が家へ招いてくれたのだ



「母ちゃんたちは、買い物らしいからゲームでもしようぜ!」
「うむ」


藤崎の部屋に入った僕は、疑いもせず頷いた



きっとゲームというのは、テレビゲームのことだろう



何回か、藤崎と手合わせをしたが、僕は一度も藤崎に勝てていないのだ



まぁ、テレビゲームなどやったことなかったのだから、当然だが…




「確かここに……」


ガサガサ…



藤崎は、なにやら机をあさっている



ゲームなら、ここにあるじゃないか…?



藤崎の部屋のテレビの前には、昨晩もやったのだろう



テレビゲームが置いてあった



全く、毎日よくもまあ飽きないな…




そんなことを思っていたら、藤崎があった!と叫んだ



一体…
なにがあったんだ?



藤崎は、見つけた物を僕に隠すように背中に腕を回した


そして、ニヤリと僕を見る




「椿、今日は何の日だ?」




何の日…?
それはもちろん…



「僕らの誕生日だろう?」



何を今更言っているのだ?



すると藤崎は、バカにしたような顔で


「ちげーよ!」



と叫んだ



カチンと来るなぁ…!!



この時、僕の頭にはプンプン煙が出ていた




「11月11日はな、“ポッキーの日”だ」
「…ポッキー…の日」


そういえば、学校でもみんな騒いでいたな…


「だからよ、“ポッキーゲーム”しようぜ」
「…ポッキーゲーム?」


なんだそれは、僕は知らないぞ


「どうやって遊ぶんだ?」


と藤崎に尋ねると


「まぁ、やったら分かるぜ」


と藤崎は答えた




ニヤリと笑いながら




「椿、このポッキー食わえろ」



藤崎は、袋から一本ポッキーを取り出した



食べるゲームか?



そう思った僕は、疑いもせずにポッキーを食わえた



ぱくっ



そのまま食べようとすると、



「待て」



と藤崎が叫んだ




僕は犬じゃないぞ…!!




そう思い、藤崎を見つめる



「椿、まだ食べちゃダメだ」


藤崎は、ポッキーは食べるなと言うのだ




じゃあ、なんでポッキーを食わえるのだ…?




僕には、訳が分からなかった




すると藤崎は、僕の肩に両手を置いた



なっ、なんだ?



僕は慌てて藤崎の方を向く




身長がほぼ同じの僕らは、真っ直ぐ視線が絡み合った




「そのまま、オレの方見てろ」



藤崎の瞳が、熱を持っていた…



僕は、視線を逸らしたいのに…




逸らせなかった…




「そのままだ」



だんだんと、藤崎の顔が近づいて来る



…なっ、なんだ!!
何故近づいて来るんだ!




藤崎はそのまま、僕が食わえているポッキーを食わえた




近い!近いぞ!!藤崎!




藤崎は、僕を見つめたまま、ポッキーを食べ始めた




ポキ…ポキ…




ポッキーが食べられると、僕らの距離が縮まる





そして――――――


「…ふ…じさ…き」
「…ん…」




一口分にまで小さくなったポッキーごと、僕の唇は藤崎の唇に食べられた




柔らかい…


藤崎は、唇を離さないように


何度も何度もキスをした



体が、おかしくなりそうだ…



いつの間にか、僕は瞳を閉じていた


藤崎とのキスを感じるために





「…んっ…」




甘い僕の声が漏れる



その瞬間、唇を割って入ってきた温かい藤崎の舌





「…はぁっ…はぁっ…んっ…」



息するのさえままならない…





「…椿…」



ふと、藤崎は唇を離した



「…はぁ…はぁ…」



僕はその隙に息を整える




そんな僕を見て、ニヤニヤしている藤崎



…くそぉ…、ぼ、僕だって…



こんな風になりたくてなったわけではないぞ…!



そう思いながら、藤崎を睨んでいると



「このゲームでも、オレの勝ちだな」



と言って、ニカッと笑った藤崎


ムキになった僕は、藤崎に言った



「…ぼ、僕だって勝てる…」
「へー?ならやってみろよ?」



挑発的な藤崎



僕は藤崎のポッキーを一本取り出し藤崎に突き出す


「藤崎、ポッキー食わえろ!」
「ほらよ」



藤崎はあっさりポッキーを食わえた


そんな状況になり、僕は慌てる



「…っ…」
「早くお前もやれよ」
「分かっている!急かすな藤崎!」
「椿遅い!オレ、ポッキー食っちゃうからな!!」


ポキポキとポッキーを食べる藤崎



ポッキーが短くなっていく


「あー!短くなったじゃないか!!!!」
「…こっから始めようぜ?」




…近すぎるだろう…!!



僕には、そんな近さは無理だと思った



「…藤崎、もう一度ポッキーを食わえ直してくれ」



だから僕は、もう一度藤崎のポッキーを取り出し、藤崎に食わえさせたのだった

















『結局椿くんは、王子にキスされるまで出来なかったんだよ☆キラ』←ロマン





藤椿「「なんで知ってるんだ!!!!」」






☆☆☆☆☆☆☆おしまい☆☆☆☆☆☆☆
 

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