*初恋はお兄ちゃん

□初恋はお兄ちゃん
1ページ/4ページ



ピンポーン…




「はぁい…」




ガチャン…


出てきたのは綺麗な女の人だった



「いらっしゃい」


この人が、ボッスンのお母さんの茜さん…



「こんばんは」
「お邪魔します」



あたしとお兄ちゃんはぺこりとお辞儀をする



「はじめまして、椿佐介です。隣は妹の愛理です。今日はお招き…」
「すいませんあたしまで…」
「堅っ!さすがにそっくりねぇ〜、それより早く上がって?」

バシッと肩を叩く茜さん



「お兄ちゃん…」
「愛理、お邪魔しよう」
「うん!!」


あたしとお兄ちゃんは靴を脱いだ


「…ちょっとよく顔みせて?」


すると茜さんが、お兄ちゃんの顔を覗き込んだ


「えっ…」



間近で見られて、お兄ちゃんもたじろいでる



「まつげが長いのね…、佑助は父親の亮輔に似てるけど、佐介くんは、母親のハルに似てるわ………」



茜さんは、涙を流していた



「あっ…」
「ごめんなさいね…、今日はよく来てくれたわ…たくさん食べていってね」





そういう茜さんは、笑顔だった






「じゃあ、夕食にしましょう?こら佑助!佐介くんと愛理ちゃん来たよ!?」


リビングに行くと、ボッスン妹のルミちゃんと、何故か汗だくのボッスンがいた




「えー?なんだって?なんで椿がいんだ?愛理は歓迎だけど」
「貴様ぁぁ…!!」



お兄ちゃんの頭にプンプン煙が発生した



まずい!


「お兄ちゃん!」
「貴様が来いと言ったんだろう!」


あたしはお兄ちゃんを抑えつける






なんでこの2人はケンカするのかな…?










「ルミ、愛理ちゃんと隣ー!」
「あたしより、茜さんは?」
「平気よ、あたしは横で食べるから。佐介くんと愛理ちゃんは嫌いなものはない?」
「ありません」
「ないです」


(好物ばかりだ…)
(お兄ちゃんの好きな物ばっか、さすが双子…)




「お兄ちゃん達は2人で並んで食べてよ!」


「…」
「…」



きっと、ルミちゃんの作戦かな?




隣に座ったお兄ちゃん達は、箸を持つ手がぶつかり合った





「右利きと左利きなんだから逆に座りなさいよ!」




茜さんが呆れている










――――――――…………

「はぁ!?お前何して遊んでたんだよ?」
「僕は図鑑を見ていた」


真面目な顔をしながら、唐揚げを食べるお兄ちゃん


「図鑑…!?」

ボッスンは驚き

「うわ、暗っ…」


ルミちゃんは引いていた


「ちょっと待て、…ちっ、地図帳も見ていたぞ!!」


お兄ちゃんも慌てて弁解する


「地図帳!?」
「うわ、暗っ…」



結果は変わらなかったけど




「愛理は何してたんだ?」


ボッスンに聞かれたので


「あたしは、お人形遊び…」



と答える


「やっぱりマツゲくんとは違うな」
「ルミ、愛理ちゃんがちゃんとした人で良かった」


藤崎兄妹は安心したみたい
あたしが普通で





「…そ、そういう君は何をして遊んでいたのだ?」
「そりゃおめーロボットだよ」


「…ろぼっと…?」
「…ろぼっと…?」


あたしとお兄ちゃんの声が重なった





「えー!?お前ら知らねーの!?」
「なっ、なんだそのろぼっとっていうのは!」
「どうやって遊ぶの!?」
「…どうやって遊ぶのって、ロボットのおもちゃで遊んだり…」
「…」
「…」
「ロボットになったり」





なる!?!?!?!?





あたしとお兄ちゃんは、もちろん驚いた



「な、なる!?ロボットになるってなんだ!」

お兄ちゃんが驚きのあまり叫ぶ

あたしもそれは是非聞きたい!


「ごっこだよごっこ!!」


ボッスンが呆れたように言う

「ごっこ?」


あたしがボッスンに聞くと


「やってやろうか?」


と言ってくれたのに


「いや、けっこう」


とお兄ちゃんが断った


あたしはちょっと見たかったな…



「…」
「…」
「…」




少しの沈黙の後





「ウィーガシャン、ウィーガシャン」



ロボットっぽい動きをしながら言うボッスン




結局やった――――――!!!!!




「意外とリアルだ!」


すごい!

「そうよ、お兄ちゃんのボディーパフォーマンス能力をなめないで」


ルミちゃんも認めるくらい、ボッスンはすごい


「顔がロボットそっくり…」
「ウィーウィー、マツゲヤキマス…ピー!ボファァ!」


声まで…



「焼くなぁ!!!!!」






楽しい食事の時間は過ぎていった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ