*virgin killer & if

□-if-
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1人でいるには広すぎる部屋


そこから見える綺麗に咲く花畑

私は、そんな花を見ていた



「ユリア姫」


声の主を見ると、黒髪の人物がいた


「…リヴァイ王子」
「また花でも見ていたのですか?」


そう言いながら部屋に入り、近づいてくるリヴァイ王子


「止めて下さい、そんな話し方」


私が王子を睨むと、彼はフッと笑い、いつもの顔つきに戻った


「…嫌いか?貴族の話し方は」

相変わらず王子は話し方が生意気



「いいえ。ですが、貴方には似合いませんわ」


私は花に視線を戻す



「お前もその話し方は似合わない、やめろ」
「…私は、ティンズ家の娘です…、この話し方は当然ですわ」
「お前は俺に嫁ぐんだ、家は関係ねぇ」



私はリヴァイ王子を見つめる



「…ですが」
「お前は昔みたいな話し方の方が似合う」
「…リヴァイ王子」




昔は、私だって普通の話し方だった



リヴァイ王子とも、子供の頃からよく遊んでいた


幼なじみ



それ以下でもそれ以上でもない



だって、リヴァイはこの国の次期後継者


この国の頂点に立たなければならない人


そんなことわかっている


私だってもう子供ではない



そう、昔の自分ではないのだ



「私は、もう昔の…、子供の頃の私ではありません」
「…ユリア」
「明日の挙式まで、1人にして下さりますか?リヴァイ王子」






私は、彼に冷たく言い放ち、その場を後にした




















―――――夜が更けた




「…リヴァイ」




私は1人、窓から見える月に呟いた





数日前だった
リヴァイにプロポーズされたのは



『おい、ユリア』
『リヴァイ王子、どうされましたか?』
『俺が必ず、ユリア幸せにしてやる』
『…今何て仰ったんですか?』
『俺と結婚しろ』
『…本気ですか?』
『当たり前だ』



…あの時リヴァイは、私のことどう思っていたんだろう…



昔は、私のことなんかいじめてたくせに



いきなり結婚だなんて




『リヴァイなんか嫌い!』
『…っ…、こっちの台詞だ!』



よく、ケンカだってしたのに


それに、つい最近まで女の人と付き合っていたのに


リヴァイは、私のこと好きな訳がない…


きっと、もう諦めてるんだ
自分の意志を持つことを





『なんだよユリア』
『リヴァイ、あのね、ユリアがおっきくなったらね、リヴァイと結婚してあげるー!!』
『オレがしてやる』
『ユリアがしてあげるの!!』
『オレがしてやるって言ってんだろ?』





…昔はこんなこと、言ってくれたけど



今は…もう――――――…………




「ユリア」
「ぎゃあぁっ!」



いきなり呼ばれて驚いた私は、変な声で叫んでしまった



「バッ!バカ野郎!」
「むごご…」



慌ててリヴァイが私の口を塞ぐ




「…バカ野郎、お前は仮にも姫になる女だろうが」
「…だっ…、だって!!」



リヴァイがいきなり現れるから!




そう小声でリヴァイに言ったら



クスッと、嬉しそうにリヴァイは笑った





「え?」
「やっぱり、ユリアはそっちの方がいい」



リヴァイが笑った顔…
今までみたいな、作った笑った顔じゃない


最近は見ていなかった、本当に嬉しい顔



「…で、でも」


その時、ぎゅっとあたしはリヴァイに抱きしめられた



「お前は、そうやって笑っていればいい」
「…リヴァイ?」
「約束しただろ?」
「…約束」



約束って…



「俺がユリアと結婚してやるって」
「覚えてたの?」



あたしは少しリヴァイから体を離し、リヴァイを下から見つめた



「当たり前だ」



リヴァイは、私の髪を優しく撫でた



「でも、リヴァイには付き合ってる人いるじゃない…」



リヴァイの優しい目から、目を逸らす



「あんなの、大臣の野郎に相手してやってくれって言われたからだ」


嘘…
でも、リヴァイは…



「…リヴァイは、私のことなんて…好きじゃ、ないじゃない…」


声が震える



「バカか。なら何でお前と結婚するんだ?」
「…でも、でも…ッ」



私はリヴァイを見上げる



「俺は、ガキの頃からユリアと結婚するって決めてただろうが」
「…リヴァイ…」





私から、涙が零れ落ちた




ずっと、ずっと
私だけを見てくれていたんだね


大きくなるにつれて、この気持ちはなくなっていくのかと思っていたのに



大きくなるにつれて、この気持ちはもっと大きくなっていたんだ


私も、リヴァイも




本当に、私と結婚していいの…?




そうつぶやけば




ユリアは俺と結婚したくないのか?と囁かれ




私は、結婚したいと答えた





そして、2人で笑い合った



































――――――――――――……………………



「…ママ、そのあとパパとどうなったの?」
「…え?」



娘のエリに呼ばれて、現実に戻った私



いけないいけない…



昔の不器用な自分を思い出していた



素直になれない私



リヴァイも素直じゃなかったんだけど…




「ねー、そのあとは?」
「…えっと…」




エリにそのあとの事を聞かれて、戸惑う私




そんな所に…



「何しているんだ」



リヴァイが来た


「パパだ!」


エリは、リヴァイの元へ向かい彼に抱きついた


リヴァイは不思議な顔をしたまま、エリを抱っこして私の元に来た



「どうした、エリ」
「パパ、ママとけっこんしてどうなったの?」
「あ?」


明らかに驚いた顔をするリヴァイ



「ママがおしえてくれないの」
「お前は子供に何を言っているんだ」


呆れた目で見られる私



「だ、だって…」
「ねぇ〜、パパ!」



仕方ないなという顔をしたリヴァイは、エリに(私に聞こえるような)小声で



「エリ、ママには内緒だぞ」



と言った



「うん!」



と笑顔のエリ



ちょっと待って、なんて言うつもり!?




「ママとパパはな、エリが欲しくてな……………」
「わー!」



私はリヴァイの言葉を遮るように叫んだ



「ママうるさいっ!」
「本当にママはうるせぇな」



と、2人は私を睨むけど



「リヴァイ!貴方なんて言うつもりだったの!?」
「あ?本当のことに決まってんだろうが」
「エリの前でそんなこと言わないで!」
「ママとパパ、エリのまえじゃいえないことしたの?」



し、しまった…



「…っ…ち、ちが…」
「バカ野郎、俺は“エリが欲しくて、神様に頼んだ”って言うつもりだったんだ」


リヴァイにニヤニヤ笑われる私


「神様に頼めばいいんだ…。ねぇパパ!エリね、弟か妹ほしい!」



するとエリがとんでもないことを言い出したのだ



冷や汗が止まらない私


隣にはニヤリと笑うリヴァイ


「エリが言うなら仕方ないな、神様にママと頼みに行かねーとな」


と言って、私を横抱きにしたのだ


「えっ!?」


そのまま私とリヴァイの部屋へ向かうリヴァイ




「ママとパパ、いってらっしゃーい」




エリは笑顔で私とリヴァイを見送った







自室に入り、リヴァイは私をベッドに下ろした




「弟か妹だってよ…神様」
「…リヴァイ、本気?」
「当たり前だ、それに最近シてねぇからな」
「で、でも…」



こんな昼間からスるなんて…




「ユリア」
「…っ…」



耳元で囁かれ、体が反応する






そして、結婚した後
2人で愛を確かめ合う時には、必ずリヴァイが言ってくれる言葉






「愛してる」






と囁かれて、私はリヴァイにキスを落とされた


END
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