*virgin killer & if

□virgin killer
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あれから、2年の月日が流れた


あたしは、20歳となり調査兵団の班長を任せられていた



「ユリア」
「兵長」
「…2人の時はリヴァイと言え」
「すいません、慣れなくて…」


あたしの恋人
リヴァイは今も2年前と変わらない

鋭い瞳に見つめられると、今でも心臓の鼓動がうるさくなる




「それより、夜に俺の部屋に来い」
「へ…、リヴァイの部屋に?」


危ない危ない
また兵長と言ってしまうところだった



兵長の眉間に少しシワが出来ていた


が、すぐにいつもの顔つきに戻った



「…あぁ、必ず来い」
「…は、はい」




そう言って、兵長は去っていった





“必ず来い…”…か
いつも呼ばれた時は必ず行っているのに



変な兵長…















夜…


団長室で、次の壁外調査についての仕事をしているあたし

チラッと時計をみる

…9時か

…うーん、もうちょっとかかっちゃうな…

あたしはコーヒーを飲んだ



「ユリア、もういいぞ」


団長があたしを見つめる


「えっ、でもまだ終わってません!」
「それはハンジに任せるんだ」


真顔で言う団長


「えー?私が?エレン、お願いね」

隣には鼻の下にペンを乗っけているハンジさん


「…は、はい」

そしてその隣には、エレン


エレンの顔見ていたら可哀想すぎる!


「いや、あたしがやります!」

あたしは椅子から立ち上がって、団長に言う



しかし


「ユリアさんは、終わって下さい」


とエレンに言われたのだ


エレン…


「でも…」
「まぁまぁいいからいいから!」


と背中を押すハンジさん



「…後は任せて、ね?」



と、部屋から出されたあたし


ハンジさんは、扉をしめた





























あたしは、兵長の自室へと向かった



―――――――コンコン


「ユリアです」
「入れ」



ガチャ…



「遅い」



扉を開けた瞬間、兵長の不機嫌な顔が見えた



「…すいません、仕事が終わらなくて…」


バタンと扉を閉じて、あたしは兵長の部屋のソファに座った



「…まぁ、いい」
「…」


兵長は、机に座ったままだった



「…ユリア」



不意に呼ばれたあたし



「なんですか?」



ガタッと椅子から立ち上がった兵長は、ソファに座るあたしの前に近づいた




そして、隣に腰を下ろした




「兵長…?」
「…今日は、何の日だ?」




…今日…?
今日は、今日は、今日は…





「…あたしと兵長が付き合って、二年の記念日…?」
「そうだ」




覚えてて、くれたんですね…



一年前は、兵長は記念日のことなんて覚えていなかった


そして、そのことが原因でケンカになったのだ



来年は必ず覚えている



そう兵長が言っていたっけ…





「去年は…、すまなかった」
「いえ…」



兵長は、申し訳なさそうにあたしを見つめる




そんな顔、反則だと思う…



いつもは眉間にしわが寄っていて、怖い顔しているのに


今はそのしわがなくなって、眉がハの字になっている


猫みたい…


無性に撫で撫でしたくなる気持ちを、あたしは必死に抑えた





「…俺は、去年記念日も忘れていたから、こんなこと言っていいか分からねぇ」
「…?」
「…が、今しかないと思った」




兵長は、あたしの左手を手にとった



「…兵…長…?」




そして、あたしの左手には何かをつけられた




この行為が意味していることは、あたしでも分かる



兵長は、あたしの左手を自分の手と絡ませた




「…俺は、女が喜ぶことは分からねぇし…」



分かってるじゃないですか…



あたしから、涙が落ちた




「ユリアを大切に出来てるかも、分からねぇし」



すごく、すごく…
あたしを大切にしてくれているじゃないですか…




「…っぐす…、ぅぅっ…」




余計に涙が溢れる



「…この先、ユリアを傷つけて、泣かせたりするかもしんねぇ…」




兵長は、あたしの涙を手で優しく拭った



兵長は、優しいです…
あたしのことをいつも考えてくれていたじゃないですか…




「だが、俺がユリアを…」





兵長は、あたしを真剣な目で見つめる




「必ず、幸せにする」
「…ぁ、…ぅぅ…」




ずるい、ずるいですよ…



そんなかっこいいことを言うなんて



兵長は、ずるいです…




そんなこと言われたら…



ますます、あなたに惚れてしまいます…





「ユリア、俺と結婚してくれ」
「…はい…」





あたしは、涙でぐちゃぐちゃになりながら




笑顔で答えた





すると兵長は、優しく微笑んであたしを抱きしめた
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