*virgin killer & if

□virgin killer
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「…今、なんて仰ったんですか…?」



「エレンと俺以外のリヴァイ班は全滅した」




全滅…!?



エルドさんが、ペトラさんが、オルオさんが、グンタさんが!?


死んだ…!?




「そんな…っ、嘘です…よね…!?そんなこと…まさか…」


あたしは、現実を受け入れれなかった



「…本当だ」



けれど…
兵長の悲しい顔を見たら、現実を受け止めるしかなくて





「…っ…、うっ……あぁぁぁぁ!!!!!!!」




あたしは泣き崩れた




















「グンタさん、見てください!猫ちゃんですよ!」
「猫か、可愛いじゃないか」
「あたし、猫飼いたいですよ〜」
「ちゃんと世話できるならな、なんてな」
「なんかお父さんみたいですね」



優しいお父さんみたいな
グンタさん…










「オルオさん」
「なんだユリアか」
「どういう意味ですか」
「兵長だったら、と思っただけだ」
「あ、リヴァイ兵長」
「へっ…!!(舌を噛んだ)」
「ごめんなさい、嘘です…」
「ユリアー!」




面白くて、よく舌を噛んでいた
オルオさん…









「ユリアっ、今度の休み一緒に街に行かない?」
「はい、行きます!」
「ユリアは大人っぽいから、うらやましいなぁ」
「え?」
「あたしは、童顔だから…」
「ぺ、ペトラさんは可愛いですもん!」
「そうかな…、子供扱いされちゃうし…」
「…ペトラさん」
「なんてね、じゃあ今度ね」





お姉さんみたいな
ペトラさん…











「…頼むから、死なないでくれ…」
「…すいませんでした…」




あたしのことをいつも見守ってくれていた
エルドさん…





「すぐに、リヴァイ班に帰ってこれるさ」
「そうですかね?」
「あぁ。その時はまたよろしくな」
「はい!エルドさん」





“その時はまた…”




ごめんなさい…
エルドさん、あたしは叶えられませんでした…






「…ルド…ん……ラさん…、オル……ん…グ……さん…」





もう二度と、みんなで笑い合えない






「…ッ…」

嗚咽が聞こえた


それも兵長から



あたしはゆっくりと顔を上げて、兵長を見つめる



「…兵長……ッ…」




言葉を失った



「…ック…見んじゃ…ね……」




兵長は泣いていたから



震えながら、唇から血が出るんじゃないかっていうくらい唇を噛みしめ、声を殺して泣いていた



「…兵長ッッ!」




思わずあたしは、兵長に抱きついた




「…ッ…クソ…や、ろ…離れ…ろ」

そんなあたしを突き放そうとしている兵長



「嫌…です、離れません…」
「…ユリアッ」
「兵長は!!」



あたしは兵長の言葉を遮り、叫んだ


「…」
「…とても、苦しそうです」
「…ッ…」



兵長は、少し突き放す力を緩めた



「だから…、今ここで全てを吐き出して下さい…苦しみを…全部」
「…ックソ…ガ……キ…」



兵長は、あたしの首もとに顔を沈めて震えていた





「兵長…今あたしは…ただの空気ですよ…」





















――――――――…………



「ユリア…、すまなかった」
「…すっきりしましたか?」
「あぁ…」



泣き止んだあたしたち


あたしは兵長を見つめる


「兵長、足平気ですか?」
「…ッ…、何故気付いた」
「兵長は、無理をする人だからです」
「…」


兵長は、苦笑する



「泣いた時、体重が片方にしかかかっていなかったんですよ」
「…そうか」



そう言って、あたしは肩を貸すと兵長と共に医療室に向かった

































―――――――……………


それから数日後、女型の巨人が捕まった



女型の巨人の正体は、アニ・レオンハートだった



「ユダ…、無事だったのね」
「あぁ…姉ちゃんもね」



それからは、少しの間平和が訪れた気がした




そして久しぶりに、姉弟水入らずとなったのだ




「エレンのやつは元気?」
「うん、兵長がついてるからね」



それから、あたしはリヴァイ班に戻された



エレンの監視はあたしが毎日行っている



が、兵長には最近会わない




「姉ちゃんさ…兵長が好きじゃないの?」
「はっ!?」



いきなりユダにそんなことを言われたあたしは変な声をだす



「エルドさんも、言ってたんじゃないの?」







『ユリア、後悔するなよ』


『お前はいつも兵長を見ている』


『兵長は、ユリアのことを大事にしているよ』


『兵長は、そんなことでユリアを移動させないよ』


『兵長は、いつもユリアの事を考えて行動している』



…エルドさんは、いつもあたしを勇気づけていたのかな…




「エルドさんも、いい人だね」



そういったユダは、優しく微笑んでくれた




「ユダ、あたしちょっと行ってくる!!」
「うん、そういえば兵長、久しぶりにここにいるらしいよ」




ユダが言う前に、あたしは部屋を飛び出していた








《…姉ちゃん、上手くいくといいな…

ね、エルドさん》






ユダは、姉の幸せを願った
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