*virgin killer & if

□virgin killer
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「姉ちゃん!」
「ユダ!!」


たまたま訓練生を見にきていた時だった



弟のユダがあたしの元に走ってきたのだ



「ユダ、もう少しで卒業だね」
「うん!姉ちゃんは壁外調査でしょ?」
「まぁね、今回も頑張るよ」
「オレも頑張る!」




なんてたわいのない話をする








あの、地獄から5年が経った…


弟のユダが訓練生になり、間もなく卒業にまでなった



「絶対、調査兵団に行くから!待っててな、姉ちゃん!」
「あたしはいつでも待ってるよ」
「…あ、オレ行かなきゃ。じゃあね、姉ちゃん!」
「うん!じゃあね、ユダ」




月日が経つのは早い




弟は、ついこないだまでは、子供であたしよりも低い身長だったのに…



今ではあたしを見下ろすくらいの身長になっていた




たくましくなった体


少しだけ幼さを残す顔立ち


そんなユダが訓練兵になった



父さんと母さんが見たら、なんて言うかな…





ユダの実力は、あたしに似たのかなんなのか…



今期の104期生でもトップクラスらしい



でも、ユダに話を聞くと、もっとすごいのがいるらしい



ミカサ・アッカーマン

首席で10年に1人の逸材とまで言われているらしい



あたしよりも上だろうな…




他にも

ライナー・ブラウン

ベルトルト・フーバー

アニ・レオンハート

エレン・イェーガー

など、たくさんの強者がいるらしい




気になるのは、ミカサとエレン…そしてアルミン・アルレルトが、シガンシナ区出身だということ



あの5年前の地獄を味わった子たち…



ユダみたいに、調査兵団に来るなんて言ってるのかな…





























―――――――――…………

数日後…




「壁外調査を開始する!!!!」




エルヴィン団長の声で、壁外調査が始まった





「ペトラ、煙弾を撃て」
「はい!」



…最近というか、この5年間



兵長とは何もなかった



あの、兵長の部屋での出来事からは全く



むしろ、前の関係に戻っている気がする



上司と部下



そんな感じだった



逆に気になるのは、ペトラさんと兵長の関係




最近、仲が良いみたい…



リヴァイ班にいて、2人でいるのがよく分かる





「…ユリア!!」
「は、はい!」


隣にいるエルドさんに呼びかけられる


「しっかりしろ、兵長には黙っててやるから」
「すいません、エルドさん」


…壁外でぼーっとするなんて、あたし…



「最近変だな、ユリア」
「そ、そんなことないです!」

エルドさんにじーっと見つめられる



「お前、兵長のことばかり見ている」
「…っ!違います!」


あたし、別に兵長なんか…!!



「まぁ、ペトラとは仲が良いからな」



エルドさんの言葉は止まらない



「おい、エルド。ペトラはオレがぁぁっ!!!!」


すると近くにいたオルオさんが話しかけてきたのだが…



「オルオさん!」
「また、舌噛んでる…」



舌を噛んで出血していた
























――――……………




しばらく走ったが、特に以上がなかった



しかし…




「兵長、前列が巨人を発見しました!」

ペトラさんが煙弾を確認した



「立体起動に移れ!!!!」



兵長の指示で立体起動に移り、かつては民家だった建物に降りる



そこから見えた景色は…



「…おかしい」
「巨人が多すぎる!!」




いつもは冷静なグンタさんが叫ぶ



無理もない…



あまりにも巨人が多すぎるのだから




「チッ…、エルドが指揮を執れ、お前らは近くのをやれ。俺とペトラは煙弾を撃ったやつらの援護に向かう」



兵長は、小さく舌打ちをしてから指示を出した



「ハッ!」
「了解!」



あたしは、兵長とペトラさんがいなくなるのを見つめていた



そして、エルドさんの指示に従う



「グンタと俺がやる、オルオとユリアは補佐を頼む!」
「分かった」
「了解」
「了解です」



そして、巨人の気を引くために飛び立った




プシャァァァ――――――





“俺とペトラは煙弾を撃ったやつらの援護に向かう”




…なんで、こんな時に…




“俺とペトラは…”



頭から離れない…




“俺は、ペトラがいい”



そう、言っているみたいで…




前は、あたしも一緒だったのに






…兵長…














「ユリア!!!!!!!!」








…えっ…




あたしの目の前には巨人がいた




「!!!!!」



ヤバいッ!




プシャァァァ!!!!!!!!




あたしは思いっ切りガスを吹かして、巨人をよけた



そして、近くの建物に避難した



「…はぁ…はぁ…」




肩で息をするあたし




バ、バカみたい…



あんなに近くにいたのに、気づかないなんて





「ユリア」


そんなあたしの所に、エルドさんが来た


あたしの目の前に立ったエルドさん



「…エルドさん、すいません…あたし…」




パンッ!!!!




乾いた音、そして頬に感じる痛み




「…エ、ルド…さん…?」


あたしはエルドさんに、頬を打たれたのだ





すると、エルドさんに肩を掴まれた



「しっかりしろ!!ここは壁外なんだ!巨人がいるんだ!死ぬかもしれないんだぞ!!!!!」



…エルドさんの怒った顔、初めて見た




「…す、すいません…エルドさん…すいません…」




あたしはひたすら謝るしか出来なかった





「…頼むから、死なないでくれ…」



そして、エルドさんに抱きしめられた



エルドさん…



「…すいませんでした…」



あたしの瞳から、温かいものが溢れ出した






















そして、撤退命令が出た――――――――…………
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