*失ったものはもう二度と…

□story3【過去】
1ページ/1ページ



あれから毎日


「ハァッ!」


あたしは大きく振りかぶり、リヴァイに蹴りを繰り出した




リヴァイはそれを腕で防御する



そして、唇の端を軽く上げた




「…大分腕が戻ったな」




まるで獲物を見つけて嬉しそうな顔




けれど嬉しいのはあたしもで




「当たり前っ!」




ニヤリと笑い、あたしはリヴァイの顔面に突きを放つ




リヴァイは顔を傾け、避ける




チッ…




今の、軽く避けすぎだろ…




リヴァイは余裕であたしの攻撃を避け、受け止める




まだ、実力がリヴァイに敵わないってことか…





「守りが甘い」




そんなことを考えていたら、リヴァイに腹を殴りにかかった



ヤバイッ!




あたしは身体を少し捻らせ、避けようとしたが、リヴァイのスピードにはかなわなかった



「グッ…」




間一髪で、みぞおちは避けたが、かなり効いている…




…手加減無しかよ…




「…ッ…」



あたしは腹を抑え、リヴァイから距離をとった





「…油断しすぎだ、防御が甘い」
「…」




確かに、そうだけど



少し軽く殴るくらいでよくない?




あたしは、リヴァイを少し睨んだ




「悔しかったら俺に一発でも当ててみろ、思い切りな」



リヴァイはあたしにニヤリと笑い、挑発した




…本当にムカつく…




「…そうだね…そうするよ」




あたしは、リヴァイに一発当てる時はみぞおちと決めた






「…まだやるのか?」
「やる」




このまま引き下がれない




「休憩しろ、さっきからぶっ通しだ」




リヴァイがそんなこと言うけど




「平気」




あたしは、また構えた





その時





「よぉ、リヴァイ…」





汚い声が聞こえた




「憲兵の女の子と仲良く、喧嘩の練習でもしてるのかぁ?」




コイツ…あの時の…





リヴァイと初めて会った時に倒された奴等だ




「キャハハハハハハ」




下品に笑う男が5人




「アニキ、憲兵の女。中々可愛いぜ、リヴァイの前で犯してやるってのはどうだ?」




…犯す…




身体が、震えだした…




「り、リヴァ…イ…」




必死に、リヴァイを呼ぶ




そして、リヴァイの背中にしがみついた





リヴァイも、あたしの異変に気づいたのか、手を握ってくれた




「…落ち着け」
「…う、ん」
「俺の後ろにいろ、絶対に離れるな」

「…わ、わかった…」




あたしは、リヴァイから少し離れて後ろに下がった




「ハハハ!それはいいな!リヴァイの女を目の前で犯す、最高だな!」



アニキと呼ばれた奴は、唇をベロリと舐めてあたしを見つめた




「おい、リヴァイ…その女、俺様によこせ」
「ハッ、てめぇらこそ…」




リヴァイは男5人の前に立ち




「ここから消え失せろ」




睨み付けた




「やれ!」
「うおおおお!」
「死ねぇぇぇ!」




男が3人リヴァイに攻撃をする




しかし、リヴァイはいとも簡単に避け、男達に蹴りや突きを浴びせた




強い…




リヴァイは本当に強い…





男達は、倒れた




リヴァイはアニキと呼ばれた奴を睨んだ





「早くしろ」




かかってこいって意味だ




けれど、奴は





「フハハハハッ!かかったな!」





笑ったのだ





仲間がやられたのに





それもそうか





「動くなよ…?憲兵の女」
「…ッ…」



もう一人の仲間が、あたしにナイフを突き付けたのだから




…裏道から来たのか…





気づかなかった…





「セナッ!」




リヴァイがあたしに駆け寄ろうとするが




「おっと、動くなよぉ…リヴァイ」

「ッ…」





男はあたしの首筋にナイフを立てた
  




痛い…ッ…




ツー…っと首筋に温かいものが流れた





「セナちゃんが、殺されてもいいのか?」
「…糞野郎が…」




リヴァイは男を睨み付け、その場に踏みとどまった




「アニキ、リヴァイを縄かなんかで縛ってください」
「そうだな…、だがその前に、オラァッ!」




男はリヴァイを蹴ったのだ




リヴァイは受け身を取らずに、まともにくらっていた




「…ッ…」
「いいザマだなぁ、リヴァイ」
「ハッ、てめぇはそんな程度か」
「強がってんじゃねぇ!」




ガンッ!



「リヴァイッ!」
「…ッ、かかってこい、俺を倒せば気が済むだろ?」
「てめぇッ!」





バキッ!





…リヴァイ…




あたしは、平気だから…





だから…





もう、止めて…






リヴァイ…!





あたしは、何もできないまま




リヴァイが殴られているのを、見ていた…

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ