*basket woman

□basket woman
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「…すいません」
「いや、気にしてないよ」



あたしは泣き止み、仙道先輩はあたしから離れた



「…そうか、兄貴の代わりにか」
「…もちろん、兄は望んでないと思います、でもあたしは…」
「三井さんに会いたかった…か?」
「…はい」



あたしと兄ちゃんの共通の目的



三井先輩とプレーすること



それを叶えたいと思った




「…初恋には適わねぇな」



仙道先輩は、隣で苦笑していた





「仙道先輩」
「ん?」
「今度の海南戦、必ず湘北は勝ちます…」
「それで?」
「その次は陵南と戦って、今度は湘北が勝ちます!」
「宣誓布告か?」
「はい、仙道先輩に勝ちます…必ず」
「…俺だって、負けねぇよ」




あたしは、仙道先輩に向かって宣誓布告をした




次は、海南戦


王者との対決だ











































―――――――――…………


次の日
海南戦まで後わずか


湘北バスケ部は、練習三昧となった



「…榊原!」
「はいっ」


宮城先輩に呼ばれたあたし


「オレと1対1やろうぜ」
「…分かりました」



あたしは宮城先輩の前に構える


「…お前、上手いよな」


宮城先輩はドリブルしながらつぶやく


「宮城先輩には適わないです」
「そんなことねぇよ」



ダン!



宮城先輩が踏み出した



キュッ――



「ディフェンスはまだまだだな」


宮城先輩に言われてしまった



チッ



いとも簡単に抜かれたあたし




ダダダダッ―――――!!




しかし足はあたしの方が上みたいだった




「なっ!!」
「…もらいますよ」




パンッ!




あたしはボールを叩き、奪った



「しまったぁ!」



宮城先輩は焦った顔をした




「足は俺みたいっすね」



そう言ってニヤリと笑ってやった




宮城先輩は、同じようにニヤリと笑う





「…な、そんなことねぇだろ?」



宮城先輩の手がボールに伸びる




あたしは女子の特権である、体の柔らかさを使う




体を宮城先輩から大きく反らした






「…ウソだろ!?」




宮城先輩の手が空振りする



あたしはその瞬間に走り出した




ダンッ!




あたしはゴールまで走り切り、レイアップシュートをしようとしたが




「甘ぇな」
「…宮城先輩!」




パンッ!




後ろからいつの間にか先輩が来ていた



ボールがはじかれる



ダン、ダンッ…


コートにボールが落ちた




「…チッ」


「ほら、出ちまったからやるよ」


宮城先輩は、コートから出たボールをあたしに渡す




「…甘いですよ」




あたしはそのままシュートを放つ




宮城先輩も仙道先輩にも通用したか




パサッ…




「宮城先輩、先制点いただき…」


あたしはニヤリと笑う



「そんなのありかよ!!」
「ありですよ」
「汚ぇー!」



宮城先輩は絶叫する




「リョーちんはまだまだだな!」
「花道、てめぇには言われたくねぇ」
「あぁ゙?」




あたしはこっそりと、2人のそばから離れた




すると近くに三井先輩がいた



「…みつ……」
「赤木、ディフェンスしてくんねぇか?」




あたしの言葉を遮るように三井先輩は、赤木先輩に話しかけた




…三井先輩




なぜか、最近三井先輩から避けられていた




海南戦前だから、忙しいんだよね…
















―――――――部活が終わった


「三井先輩っ」
「…」
「一緒にか…」
「悪い、宮城と帰る」
「え…」



いつもあたしと帰ってたじゃないですか…



「三井さん、オレ行きますよ!」
「今行く」
「…三井先輩!」



あたしを無視して、三井先輩はいなくなった




…三井先輩




「…榊原」
「…、木暮先輩」
「三井とケンカでもしたのか?」
「別にしてないです、さよなら」




あたしは、一人帰った
















それから次の日も、その次の日も


三井先輩と話さなかった


























――――――――――………

そして、海南戦を迎えた




「正念場だ」



いつか聞いたセリフを言う赤木先輩



神奈川NO,1の海南大附属高校



そして、神奈川NO,1プレイヤーの、牧 紳一



一体、彼らの実力はどれくらいなのだろうか





「…三井先輩」



あたしは三井先輩に話しかける


「…」



相変わらず、あたしを見てくれない



「…試合、頑張って下さい」
「…あぁ」




…どうして、あたしを見てくれないのだろう…










ピー!


「これより、海南大附属高校対湘北高校の試合を始めます」
「しゃーす!!」




キュッキュッ



みんなはそれぞれ構えた




赤木先輩対高砂先輩


県内一位、二位を争うセンター対決



そして、宮城先輩対牧先輩



NO,1プレイヤーとの対決




そして、一年生から常勝海南のスタメンを勝ち取った清田信長対流川君




同じ一年生のルーキー対決




…兄ちゃんがいたら、どうなってたかな…



なんて思ってしまったあたし




ふと視界には三井先輩が写った




三井先輩…




「三井先輩!」



あたしは思わず叫んだ




しかし、湘北はなかなか点が取れないでいた






けれど赤木先輩のプレーに、みんなの士気は維持できていた




「赤木先輩…」




ずっと夢を見てたんですよね




海南と戦う夢を





全国制覇をするならば、避けては通れない




常勝海南に、そんな簡単に負けれない…!





「頑張れ!湘北!!」




あたしは声を大きくして叫んだ





頑張って…みんな



頑張って…








三井先輩…
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