*basket woman

□basket woman
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それは3年前…



武石中の三井寿というMVP選手を見た時だった


ゴールに吸い込まれるように打たれるボール


三井先輩のシュートは、余りにも綺麗で


動きの1つ1つがあたしの頭から離れない


この時からだった



三井先輩と同じ高校へ行く


そう決めたのは















――――……

そして、現在


「兄ちゃん、ごめん」


あたしは双子の兄である、榊原蓮として湘北高校に入学した



「榊原」
「おう、水戸」



同じ和光中だった水戸洋平に会った



兄ちゃんと仲良かった不良組だけど、全然悪い人じゃなくて



あたしは水戸君が好きだ




「凜ちゃん元気か?」
「あぁ、元気だよ」
「そっか、花道結構落ち込んでたからなぁ〜」



花道とは、桜木君のこと



あたしは桜木君に告白されて断ったのだ



「蓮と顔似てるからな〜、傷が癒えねぇだろうな」
「桜木らしいな」



ごめんね、桜木君



あたしはあの時には、好きな人が出来ていたのだ




まだ、話したことのない



遠くにいる人





「あれ、花道じゃね?」

その時、水戸君が声を上げた


視線の先には、桜木君と…



「あれ、女の子が一緒だ」




あれ、あの子…



女の子がいなくなったので、あたしたちは桜木君の元へ行く



「花道!」


桜木君は、顔を赤くしていた


「オレ、バスケット部入る」



そしてこんなことを言い出したのだ



「はぁ!?」
「えぇ!?」



あたしたちが驚いたのは無理ないだろう





クラスに戻ると、さっきの女の子がいた



赤木晴子ちゃん…だっけ



察するに、晴子ちゃんに惚れたって感じかな?


単純なんだから、桜木君








それから何日か経った放課後…

色々あったが、なんとかバスケ部に入部できた桜木君


そして…



「榊原蓮、和光中出身です」
「桜木花道、和光中出身」
「流川楓、富ヶ丘中出身」



身長が高い2人の間に挟まれる、身長160cmのあたし


2人とも、というか桜木君がガン飛ばしている




あたしの左側にいる流川君



バスケすごく上手で、有名な彼がどうして湘北に…




「榊原と流川は経験者だな」
「あ、はい」
「彩子、桜木を頼む」
「まっかせといて〜」
「榊原、流川は入れ」
「うす」
「はい」



あたしと流川君は、桜木くんを置いてコートに入った


赤木先輩の指示で、2、3年生対1年生の試合が始まった


すると流川君があたしの近くにきた


「榊原、ポジションは…」
「一応、PGやってたけど」
「じゃ、ボール運びよろしく」
「おっけい」




る、流川君と話しちゃった…



しかも、ボール運びよろしく


だって…
任されちゃった…




ピー!




試合が始まった




ジャンプボールでは、赤木先輩がもちろんボールを取った




「…さすが、赤木先輩…」




ダムダムダム…



そして、ボールが木暮先輩に渡った



赤木先輩は流川君に任せて
あたしは木暮先輩をマークした



キュッ


靴の音が響く



木暮先輩はあたしを見つめた


「…榊原か、宮城とどっちが上かな…」
「…宮城…?」



ダムッ!



あたしの一瞬をついて走り出した木暮先輩




「チッ…」


軽く舌打ちをして、あたしは木暮先輩を追いかける


悪いけどあたし…



キュッ!



「つかまえた」



そう言って、木暮先輩の前で構えると先輩は、驚いた顔をしていた



チビな分、足は早いんだよね…


パンッ!!




一瞬のすきをつき、あたしは木暮先輩からボールを奪った



「走れッ!!」




そして全員に指示を出す




先手はまず、流川君でしょ…



一体彼が、どれくらいの人なのか



先輩達のディフェンスを切り抜け、あたしは流川君にまわす




「流川!」



パシッとボールを受け取った流川君



しかし、その前には赤木先輩



さすがに迫力がハンパない



「来い!流川!」
「うす」




ダンッ!



キュッキュッキュッ




思わず見とれていたくらいだった



赤木先輩のディフェンスもすごいけど


流川君のオフェンスも負けていない



「いけ!!流川!」




ダンッ!



その言葉が通じたのか、流川君は赤木先輩を抜いた




取った!



…と、思った




「10年早いわぁ!!」



流川君の目の前には赤木先輩がいた



バシッ!!



まるでバレーのスパイクのように、ボールは打ち落とされた




ダンッ!



ボールは2、3年チームの手に渡った




「チッ…」
「…流川、高校でそうやすやすとダンク出来ると思うなよ?」



赤木先輩が流川君を見つめる




2人には闘志の火がついた




「流川、行こう!!」
「…あぁ」




あたしたちは走り出した




試合後半になると、流川君は、赤木先輩を切り抜けゴールを決めていた



すごい…
流川君はやっぱりすごい



あたしは楽しくて仕方がなかった



あたしが運び、それを流川君がゴールに入れる




これが、男子バスケ



女子にはない、激しいバスケにあたしは喜びを覚えた





「ぬおー!流川ー!!」



コートの外では桜木君が叫んでいた



どうも流川君が活躍しているのが気に入らないらしい




晴子ちゃんも見てるしね…



赤木先輩も、困っていたが、コートに入れた



「蓮、俺にパスくれよ?」

すごい睨み付ける桜木君



「…わかった」


同じ中学の奴にその目はなんだ


仮にも今のあたしは兄ちゃんの蓮なんだぞ




試合が再開された




「桜木!」
「よし!待ってろゴリ!」




ゴール近くまでボールを運び、桜木に渡すと、桜木は飛び上がった



「うぉぉぉぉッ!」



桜木君!
まさかダンク!?



ガンッ!



ダンクをするはずだった桜木君は、赤木先輩の頭上にダンクしたのだった




「お兄ちゃん!!!!」
「赤木!」
「赤木先輩!」
「ゴリ!」




バタッと、床に倒れた赤木先輩




恐る恐る近くに行くと、赤木先輩はむくっと起き上がり、桜木君をヘッドロックした




「こんの馬鹿者がぁ!」


ゴツゴツと桜木君の頭にげんこつを送る赤木先輩


その頭上からは煙がでていた



「いでー!わざとじゃないんだよー!!」








桜木君の叫びが、体育館に響いた
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