*初恋はお兄ちゃん

□初恋はお兄ちゃん
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学校からの帰り道




「お兄ちゃん、怒ってる?」
「別に怒ってはいない」
「…だって、プンプン煙出てるから…」
「…」




お兄ちゃんは、怒ると頭の上にプンプン煙が出る




だから、やっぱり怒ってるんだと思う…




「僕と藤崎は、いつもケンカをするんだ」
「…ボッスンと?」
「だから、愛理が藤崎といると、僕のことでからかわれたりしないか心配なんだ」



お兄ちゃん…



「…アハハ!」
「なんだ!」
「お兄ちゃんって、いつもあたしのことを思ってくれるんだね」
「…妹だから、当たり前だろう!」
「…嬉しいって意味だよ、大丈夫、スケット団いい人たちだもん。お兄ちゃんもそう思うよ、きっと」
「…だといいがな」



























「ガチンコビバゲーバトルだ」



今日もスケット団の部室にいるあたし



廊下でヒメコちゃんと会って、そのまま部室にお邪魔することに




「…なにそれ?」
『生徒会と対決した大会だ』
「椿からなんも聞いてへん?」
「うんうん、お兄ちゃんはなにも」



お兄ちゃんはあまり学校でのことは話さないし



「椿め、からかわれたくないからって愛理の存在を…」
「あとな、ますらお幼稚園の劇でも対決したんやで?」
「へぇ…結構関わりがあるんだね」




あたしは、ヒメコちゃんが出してくれたコーラを飲んだ





ゴクリ…
な、なにこれ!




「うげっ!」







おいしくない!
というかコーラじゃない!




「まさか!」
「チュウさんの薬やない!?」
『ボッスンとヒメコとモモカの次は愛理か!』








そんな声が聞こえてる間、あたしの視線が低くなっていった



…あれ?





「どうなってるの?」


声を出すと、いつもより高い声だった



「かわい!も〜めっちゃかわいいやん!」


ヒメコちゃんがあたしを抱っこする



「また子供かよ…」
「スイッチ、スモック!」
「もう行った」














数分後、スイッチが持ってきたスモックに着替えさせられたあたし






「なぁ、椿に見せようや」
「その前にチュウさんとこ行くぞ!!」
『もうだいぶ慣れたな』
「なんで慣れてるの!?」












「チュウさん、またなったぞ!!」
「…またか」
「いや、アンタのせいやろ!!」
「今度はなぁ、八百屋でほうれん草買ってきてくれ」
「はじめてのおつかいか!!」







「よし、ほな椿と愛理に買いに行かせようや!!」
『賛成だ』
「…愛理はどうする?」




あたしを抱っこしているボッスンが聞いてくる




「お兄ちゃん怒ると思うから、嫌だな…」
「じゃ、ボッスンと行ってきい!」
「なんで俺なんだよ!」







結局、あたしはボッスンと八百屋さんに行くことに




すると後ろから


「藤崎」
「…椿…」


お兄ちゃんだ…!




「おー椿!この子誰か分かるか?」
「…鬼塚、なんだこの子は」
「愛理やで?ちっこなってん!」
「チッコナッテン?」





…ヤバい!
お兄ちゃんの頭がオーバーヒート!




「また勝手に小さくなっていいと思ってるのかー!校則違反だ!」


お兄ちゃんのプンプン煙が発生した


「お兄ちゃんまって!!」
「む…?愛理の小さい頃にそっくりだ…」




そう、あたし!




「お兄ちゃん、愛理だよ」
「…愛理!!藤崎、愛理は僕の妹だ!返してもらう!」


ボッスンが抱いているあたしを、お兄ちゃんが奪う




「ちょっと待てよ!!」
「僕の妹を気安く抱っこするな!!」
「はぁ…、愛理を元に戻さなくていいのか?」
「…」
「チュウさんが言うには、ほうれん草が必要らしい」
「僕が買って来ればいいんだな?」
「…制限時間は1時間だ」
「分かった、愛理行くぞ」
「うん」







あたしはお兄ちゃんに抱っこされながら、ほうれん草を買いに向かった


















「お兄ちゃん」
「…」
「お兄ちゃん!」
「…かわいいな愛理」



ぎゅうう…




突然お兄ちゃんが、あたしをきつく抱きしめた




「くるちぃよ…」
「すまん、つい」





パッと力を緩めるお兄ちゃん






「妹が小さくなるのも、悪くないな」





お兄ちゃんが笑っている気がした























あたしは、お兄ちゃんの腕の中で眠りについた











ぷにっと唇に柔らかいものがあたる、そんな夢を見ながら
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