闇の皇太子ノ夢 短編

□仏壇と着物
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10年ほど前の私の誕生日、私は比紗をデートに誘うため家まで来ていた。
今日は私の誕生日だから比紗が断らないことを知ってる。なのでデートの時間がくるまで居間で待っていた。
待つだけというのも暇なので部屋を見回していると、ふと比紗が私のために用意してくれた仏壇が目についた。

いつもはそこに無い地味で安っぽい布が位牌の前にあった。

「…………これは?」

手に取ってみると着物だということがわかる。

この位牌は私のものだ。
比紗がこんなことするわけ無いし、
…………まさか、お義母さんが!?

そう思案していると比紗がこちらを覗いた。

「それ、后が『死んだお父ちゃんにプレゼントや』って言って置いた着物なんよ。一生懸命、家の手伝いをして貯めたお金で買ったやつやから大切にし」

「何!?后が私にこの着物を!?」

初めて后からプレゼントを貰ったぞ!
清涼殿で大切に保管しよう!



その後、上機嫌で比紗とデートに出掛けた御門だった。
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