ミスミソウ

□第八話
2ページ/2ページ



「これからどうしようかなぁ…」



顔を上げて雨に打たれる。
弱くなってきた雨は優しく私を包むようだった。

灰色の空を見上げて灰色の動かない雲を見つめる。
目を細めて空を見つめる。
なんにも変わらないけどただ見つめていた。









住む場所も、私の癒される場所も、何も無い…。



神様はそんなにも私に幸せを与えたくないのですか?







なんて、悲しいことを考えながら地面を見つめる。
地面に水溜りが出来ていて、沢山の私で遮れない雫が波紋を作っている。

すでにびちょびちょになった制服は素肌に張り付いて重たい。

髪だっていつもの内巻きの癖が無くなって真っ直ぐになっている。
毛先からは雨とは違い、水滴がぽたぽたと濡れて色が濃くなったスカートに落ちては染み込んでゆく。





あれ?雨が止んだの?





上を向くと傘をさした私の好きな人が私を傘に入れて、すぐ横に立っていました。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ