ミスミソウ

□第二十五話
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「よく来て下さった、我等が次期当主」





薄暗いだだっ広い部屋に案内され、目の前にはドラマでよく目にするような悪人面の男。
女の人は私の隣に立っていた。




「すみませんが次期当主とかなんですか?」




そう、わからないのだ。
何故私みたいな普通の女の子がこんなとてつもなく大きなビルの中にいて取締役なんて明らかに偉い人に次期当主とか言われちゃってるのか。




「失礼、話が飛び過ぎてしまったようだ。
最初から話そうか」




男がニヤリと笑う、その瞬間寒気が全身に回った。
どこもかしもが冷たい。
冷や汗も出てるんじゃないかな?





「私の名前は二宮 貴一。
この大手企業の取締役に付かせてもらってる。
朝日奈財閥が統べる大手企業の1つのこのビルのね。

そして、君は朝日奈財閥のご令嬢なんですよ…我等が次期当主」






嘘だ、そんな事は無い。
私みたいな女の子がそんな大層な地位に居る訳が無い。
そもそも私自身そんな記憶も何も無い。
今までの事を辿ってもただのいやただのって訳でもないけれど普通の1軒家で暮らしてて両親と双子の妹と暮らしてて。





「信じられないという表情をされていますね。
それもそうですよね、貴女様はあの事件いや、あの記憶もないんですから」






くつくつ笑う目の前の男が私を見下す様に見てくる。
わけわかんない、寒気が悪寒が酷い私は以前にこの男に会った事があるのだろうか?





「それ以上は喋らないで貰いたい」




ふわりと柑橘系の香水を纏った人が扉を開いて私の前に立った。




「クソ狸爺」
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