ミスミソウ
□第十一話
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ぽろぽろと涙がスカートに落ちていってはスカートに吸い込まれていく。
何で今になって涙が出てくるのかな…。
剣城くんの前なのに…。
泣きたくないのに…。
「うっ…、うぇ…んっ」
声まで出てきちゃった…。
こんなところを剣城くんに見せちゃ駄目だよ…私。
「おい」
いつの間にか私の目の前にしゃがんでいた剣城くんが私に声を掛ける。
びっくりして目を見開く。
「お前の名前は?」
剣城くんが優しい表情で名前を聞いてくる。
「詩乃…、朝日奈詩乃っていうの…」
名前を聞かれたことが嬉しくて泣いてる事なんか忘れて笑った。
剣城くんに精一杯の柔らかな笑顔を見せた。
俺は剣城京介、そう言って彼はあの時の…、私が剣城くんに恋をした日と同じ笑み私に見せた。