ミスミソウ

□第八話
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可愛らしいピンクの傘をさした理乃ちゃんが私を見下ろす。
土砂降りの雨の音しか聞こえない。
ぱちゃぱちゃと音を鳴らし、理乃ちゃんは私の前を通って玄関のドアを掴んだ。






「じゃあね?また学校で会いましょう?」





パタン…、そんなドアが閉まる音がした。
私の目はもう視界が歪んでいて自分の住んでいた家が歪んで見える。
私はよろよろと立ち上がり、その場から離れる事にした。
ここは道の真ん中、ずっと座っていてもどうにもならない事なんて知っているから…。





たどたどしい歩き方で近くの公園に来た。
色鮮やかな公園でさえ、雨の世界では灰色にくすんでいる。
雨の音しかしないこの世界は私を要らないと言っているようだった。

悲しいこと過ぎて涙が出て来ない。
こんな事もあるんだと心の中で自分に嘲笑う。

私はブランコの前まで来て腰を掛けた。
キィキィと鈍い音を鳴らすブランコ。
雨の音しか聞こえない世界がブランコの鈍い音も加わった。
小さい子達の声もしないから公園はしんとしていて私の乗るブランコの鈍い音が響くだけだった。
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