ミスミソウ

□第十七話
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なあに?そう言ってあの子に振り返る。
振り返った目の前に理乃ちゃんがいて思わず身を引いてしまいそうになるのを堪えた。
目の前の理乃ちゃんは私に分厚い封筒を渡してううん押し付けて来た。



「パパとママが詩乃ちゃんの貯金だって言ってたわ。
多分お年玉かなんかのでしょうけど」



封筒の中には大金が入っていてこれからは1人で生活しろと言っているのも同然だった。


「中学の学費は払ってあげるらしいからそれは生活費として使えって事じゃない?」


はやく出て行ってと言わんばかりの瞳で私を見る。
私は小さくありがとうと呟いて玄関のドアに手をかけた。



「今、あんたがどこで暮らして居ようが理乃ちゃんには関係無いけど学校に来なくなるのは止めてちょうだい?
楽しみがなくなっちゃうから」


私は振り向かず、そして返事もせず家の外に出た。
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