百合

□【こいさと】甘い香り
1ページ/2ページ

「ねえ、お姉ちゃん」

古明地こいしはティーカップを置くと、目の前でお茶請けのクッキーを食べている古明地さとりに声をかけた。

「なあに、こいし。」

さとりはクッキーを置くと優しく声をかけた。
焼きたての手作りクッキーと甘い紅茶の香りが地霊殿に広がる。

「私ね、言いたい事があるの。」

ペット達は二人の座るテーブルの横で昼寝をしている。
そういえばお燐やお空は何処だろう。

「なあに。」

さとりは優しく声をかけた。
彼女が話す度に甘い香りがふわりと中を舞う。
この香りはクッキーの香りか、紅茶の香り、どっちだろう。

こいしは微笑んだ。

さとりもつられて微笑む。











「お姉ちゃん、大好き。」








テーブルの上には赤い紅茶。
テーブルの上には紅いクッキー。
むせ返るような甘い香りが地霊殿を包み込む。
















古明地こいしは目を覚ました。
先程まで夢を見ていたような気がしたが、思い出すことは出来なかった。

寝惚けた目を擦る。
まだ、夢の中に入るような感覚が体に残っている。

そんなお寝坊さんな彼女の意識を覚ましたのは甘い香りだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ