浅瀬拠り
□Dive into
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昨夜の会話を大体思い出して、改めてドロシアの寝顔を拝見する。
安心しきった寝息を立てているが、もう朝が近いからか眠りは浅いようだ。
"お姉様がいなくて寂しかったのですから!"
「可愛いなあ…」
普段のドロシアだったらたとえ休日でもとうに起きている時間だった。
浅い眠りとはいえドロシアがまだ眠っているのは、この1年間無意識に姉の不在がストレスになり、思うように休息が取れなかったからなのかもしれない。
幼い頃、エルミスが風邪を引いたことがあった。
部屋を離されたドロシアは泣きも騒ぎもしなかったが、頑として姉のいる部屋の前で出てくるのを待つと言って聞かなかったものだった。
まだ寝かせておいてあげようとエルミスはドロシアを抱きかかえて髪を梳いてやると、安心したのかドロシアの寝息がまた落ち着いた。
イティアは賢いからこの光景を見て、また敷地の探検に出かけてくれるだろう。
両親もドロシアのことはよくわかっているから、よほど遅くない限りは起こしに来ないはずだ。
エルミスはもう一度ドロシアの頭を一撫でして目を閉じた。