AMNESIA

□寒い日に(トーマヤンデレver.)
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「それ、どうしたの?」

彼女のバイトが終わったら、俺の家で一緒にご飯を作る約束をしていた。だから俺は彼女のために、材料を揃えて家で待っていた。

『トーマのために料理が上手くなりたい』

そんなことを言ってもらえる日が来るなんて思ってもみなかったから、本当に嬉しくて、今日をすごく楽しみにしていた。


それなのに


『き、今日は冷えるから。ってイッキさんが……』


あろうことかコイツは他の男のマフラーを身に付けていた。

「ふーん……」

落ち着け

大丈夫

コイツの性格だ、断れなかったんだろう

でも……



オモシロクナイ



「彼氏としては、結構嫌なんですけど。ソレ」

『え?』

俺の気持ちには気づかないのか、不思議そうな顔をしている。

「とりあえず外したら?」

『あ、うん。ごめん……』

「待って、俺が外すから動かないで」

彼女の首元から柔らかい布をくるくると剥がしていく。
すると白い肌が想像以上に露になった。

「……つか、いつもより胸元開いてない?」

お前にしては珍しくないか?
平常心をなんとか保ち聞く。

『そ、そうかな?』

それを濁しながら答えるのは何故だろう?

というか、この肌を俺以外に見せたのかよ。
考えてみれば、こんな服着てるからイッキさんがマフラー貸したんじゃ……

「ちょっとこっち来て」

『え?ト、トーマ?』

細い腰に腕をまわし、自分の胸の中に強く閉じ込める。するとふわりとコイツとは違う香りが鼻をくすぐる。
マフラーに付いていた香り、イッキさんの香りがそのままコイツに移ったのだろう。

「……これはヤバイかな」

自分の器では耐え切れない何かがあふれ出る……
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