鬼灯の冷徹

□あの頃はこんなことも
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〜危険行為は止めましょう〜








雪も降り積もるこの季節




真っ白い銀色の世界に



コンコンッ



『…おぉ〜』




天然の氷上スケートリンクが出来ました









『丁く「ダメです」せめて全部言わして!?』

「貴女が変な笑みを浮かべているときは大抵ろくなことがないので…」


『丁君ホントに昔と比べてハッキリ言うようになったね』



少し前まではこんなにもズバリと言われなかったのでこのことを喜んでいいやら悲しむべきなんやら…



『こ、今回はスケートをしよう!』


「すけーと?」


言い馴れず少し舌足らずな丁君


君は私をキュン死にさせたいのですか?


『そうスケート!外でする運動だよ?』


私がそう言うと少し考え出す丁君

ふふふ、この約1年でわかったこと
丁君は好奇心旺盛で初めて眼にするものやすることには眼がない

私はそこを刺激する


『今じゃないと出来ないんだけどな…』


「……」


あと少し


『…やっぱり私一人で行こうかな〜?』


それとも大和獲命でも誘おうかな?







ーーーーーーー


『うわぁー、見事な氷だね!丁君』

「そうですね、これなら人が乗っても大丈夫そうです」



氷の池に来た私たち


丁君もなんだか少しいつもより落ち着きがなく、チラチラと氷の池を見ている


わかるわかるよその気持ち

私が微笑ましく見とれていると


「…なんですか?その顔気持ち悪いんでやめてください」




うん、お姉さんめげない










ーーーーーーー




シャー

シャー!



『ヤッホー!!』



早速池の氷で滑る


いやぁ、スケートなんて前の人生でも
数回しか滑ったことしかなかったから上手く滑れるか不安だったけど、上手く滑れる!




『丁く〜ん!大丈夫〜 ?』


私は一通り滑り満足して丁君がいるであろう方向を見てみると…






『…ハッ!』


「……。」





池の縁に捕まり少しだけれどプルプル震えている丁君がいた




『ちょ、丁君?』


「…いま、話しかけないでください」


頑張って手を離し滑ろうとする丁君


その姿が生まれたてのバンビが立とうと頑張る姿と重なって




『…可愛い』



丁君には悪いけどめちゃくちゃ可愛かった



だって普段なんでもそつなくこなす丁君があんなにもプルプル震えながら頑張って滑ろうとするなんて…



『丁君丁君!!頑張って!ほらここまで頑張って?私が受け止めてあげるから!!』


「うるさいです、あっち行っててください」







シャーッ




『そうそうその調子、もう少し前へ体重を預ける感じで…』



「……」



あれから暫く頑張ってた丁君

けど、上手く滑れそうになかったのでコツを掴むまでは私がリードをしながら滑ることにした



…若干不満そうな顔をしてたけど仕方ない





けど、少しスピードを上げたとき微かにだけど手を握る力が強くなる瞬間がやっぱりかわいい




あっ、今なら男子が好きな女の子を意地悪する気持ちが分かるかもしんない






「その顔やめてください、気持ち悪いです」




うん、お姉さん負けない


けどごめん、手に爪を立てるのは勘弁してください












シャー!



『丁君上手い上手い!次はあそこの岩場まで…』


暫くすると何とか一人で滑れるようになってきた丁君


丁君も満更じゃないようで少し嬉しそうです



次はもう少し遠いところまで…と考えていたら




「おい!お前ら!!」


突然声が聞こえてきました

声が聞こえた方へ見てみると


『あっ、大和獲じゃん』


ガキ大将とその手下達がいました


「おい!雪お前何やってんだよ?」

『何ってスケートだけど』

「すけーと?なんだよそれ?まぁいい、ここは俺達の縄張りだ!だからお前らはさっさとここから出ていけよ!!」

「そうだそうだ!」

「今日からそこは俺達の遊び場だ!」




「別に私達が使ってもいいでしょう、さっきからこそこそこちらを見てて、それだけ言うのにどれだけ時間かかっているんですか…」


『え?さっきからいたの?』


「う、うるせぇ!」



※20分程前から雪達の様子を伺っていました



「い、いいからさっさとどけよ!」



『ちょ!ちょっと!そんなに一気に人が乗ったら…!!』




「せーの!!」



大和獲達が勢いよくジャンプをして池の氷に乗った瞬間




ピシッ




『……あ"』



ビシピシピシッ




氷に大きな割れ目が入った




『ちょっ!大和獲のバカ!!どうすんの!ヒビが入って動けないじゃんか!!』


「ば、…ばか、お、お、おれのせいじゃねぇーし!!お前らが一気に乗ったからこうなったんだぞ!?」

「えー!大和がせーのっていったじゃんかー!!」

「そうだそうだ!!」






大声で皆が責任を擦り付けあいます


けどそうこうしているうちに



ピシッ



『「………」』



亀裂はだんだんと大きくなってきました





『…兎に角、今はこの池から脱出しよう』


「あぁ」







そーと、


そーと、


ピシッ

「ひっ!」


「バッカお前もっとゆっくり歩けよ!(ヒソヒソ」



「だ、だってよぉ〜 」


「いいからさっさと前を歩いてください、これではいつまでたっても池から抜け出せません」


「ならお前が前行けよ!!(ヒソヒソ」


「じゃんけんで負けたのはそっちでしょう…」



『あと少し、あと少しで大丈夫…』




急遽始まった肝試し



氷はバリバリに割れ誰かが走り出したら今にも崩れてしまいそうです


雪たちは慎重に進んでいきます



そんなとき


「は、…は、…はっ」

「お、おいまさか!」

「ば、バカ!!くしゃみは止めろ!(ヒソヒソ)」


「はーくングッ!!」


『丁君ナイス!!(ヒソヒソ』


危機一髪丁がくしゃみを押さえ込み難を逃れました


そして皆が安堵のため息を吐いた瞬間




「ヘクチッ!」


「…あっ」



丁の可愛らしいくしゃみが響いた



そして


ビシビシビシビシッ!!



『は、走ってぇぇえ!!』







バリン!!



とうとう氷は割れてしまいました





「「「ぎゃぁぁああ!!」」」












※みなさんは氷の上で遊ぶ際安全であるか確認して遊びましょう















『はぁはぁはぁ!!』



「結構スリルがあって面白かったですね、また皆でやりましょう」



「「「絶対やだ!!!!」」」










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