キリリクの部屋

□白の約束
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コンコンコン




白は私にとってあまり好きな色じゃありませんでした




白はこの建物と同じ色だから


私は好きになれませんでした



けど


『はい』



ガチャリ



「ニーハオ、雪ちゃん」


『こんにちは、白澤さん』










貴方のお蔭で私は白という色を少しだけ好きになったんです









『白澤さん白澤さん今日は何のお話をしてくれるんですか?』



「そうだね、今日は…」




小さい頃から身体が弱かった私

ろくに学校にも通えずこの小さな白い箱の中が私のすべてで

その箱に備え付けられた透明なガラスが唯一の私の中での色付いた世界でした


何年も何年も


それだけが私の生き甲斐でした




けれどそんな時




『うふふ、可笑しいお話ですね』


「ホントなんだよ〜?」



貴方が私の世界に色を塗ってくれたんです





始まりはホントに突然だった


いつものように窓の外を眺めていた私の目の前に何故か外の木に引っ掛かっていた白衣姿の貴方を見つけたの






その後驚いた私は窓を開けて声をかけた
それが始まり


それからあなたは度々ここに訪れてはこうして私にいろんな話をしてくれた

ここで過ごしている私にとって
この時間が生き甲斐になっていた





「……」


『?白澤さんどうかしましたか?』


「…もうすぐだね」


『……』



私は何も言わずに部屋に飾られたカレンダーを見た



そこには予定日なんて殆ど書かれておらずただ一つそのカレンダーには赤い丸が書かれていた




『そうですね』


私は窓の外を見た











『私はもうすぐこの世界から消える』





木が風で大きく揺れた気がした




「消える?違うのよ、君は消えない、またいつものようにベッドから目覚めてけどそれはここではなく家のベッド、暖かいご飯を食べて、そして元気に学校へ出かけるんだ、そして友達とあって喋って笑って…」



『…無理ですよ』


「なんで?」


『……。』



「確かに手術は怖いよ、けどこれに成功したら雪ちゃんは外の世界を知ることができるんだよ?」


雪ちゃんなら大丈夫
そう笑って私の手を握ってくれる貴方が



嬉しくて



暖かくて










だからこそ

辛い






『…死んでしまったら?』


私がそう呟くと白澤さんはピタリと動きが止まる



『…もし死んでしまったら?』



死んでしまったら?

死んでしまったら?



もう、側で手を握ってくれる貴方はいないんですか?


もう、私を笑わせてくれる楽しいお話を聞くことができないんですか?


もう、笑顔で微笑んでくれる貴方を見ることができないんですか?




もう、














その暖かな白に出会うことができないんですか?







雪は両腕で足を抱え顔を埋めた


そして小さく呟いた


『私は…手術したくありません』










「…大丈夫」



白澤はそっと雪を抱き締め言った









「君が来るのはまだ早いよ」





『…え?』



来るのが早い?

私が疑問に思っていると白澤さんはただ優しく微笑んでいた






ーーーーーーー





「では手術を始める」


「はい」



あれから日が立ちとうとう手術の日がやって来た




白澤さんが優しく抱き締めてくれたあの日

それ以来白澤さんとはあっていなかった



手術が始まり睡眠薬が聞いてきたのか視界が霞んでくる





あぁもしこれが最後になるのなら





またあの暖かな白に会いたかった



ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー







しろ


シロ



なにもない




真っ白な空間



そこには誰もいない
私一人




ここはどこ?









「雪ちゃん」

『!白澤さん』


「ごめんね?最近忙しくて」


その白い空間に貴方が来てくれて私は思わず彼に抱きついた




『白澤さん白澤さんおひさしぶりです!』



「うん、元気にしてた?」


そこから私はその白い空間で白澤さんとたわいもない話をした



いつものように笑って

楽しい時間を過ごした




「…雪ちゃん、そろそろ帰らないと」


『え?』


帰る?


『帰るってどこへですか?』





そういうと貴方は哀しい顔をした


なぜそんな顔をするんですか?



「雪ちゃん、君はまだまだこれからいろんなことを知っていく、楽しいこと、哀しいこと、辛いこともあるかもしれない」



なんでそんなことを話すの?


なんで?



「けどそれはとても幸せのことなんだ


だから」







帰らないと







「そして、待ってるからちゃんとその時がきたら僕が会いに行くよ」


君がきれいなお姉さんになっても


君がおばあちゃんになっても会いに行くよ


その時また沢山話そう


その時は君の思い出を沢山聞かせて?







だからそれまで







「バイバイ、待ってるよ?だからその日がくるまで」









さよならは言わないよ?











ーーーーーーー






「雪!目が覚めたのね!?よかった!!」




目が覚めるとそこは白い病室の個室でした


そこにはおかあさんがいて泣いてました





なんだか夢を見てた気がします




外の明るい景色


そこには綺麗な白い雲が浮かんでました




「あらあら、貴女まで何を泣いてるの?」




『え?』





私は何故かその白い雲をみてると泣いていました





ーーーーーーー




『行ってきます!!』



「気を付けるのよ〜」



あれから私はリハビリをして学校へ行けるようになりました




「雪〜!!」



お友だちもできました





道を歩いていると





「君にはやっぱり笑顔が似合うね?」





『え?』




声が聞こえた方を振り向くとそこには誰もいませんでした




「雪行くよ〜?」


『う、うん!!』







それは小さな物語





勇気がなかった女の子と


突然表れた男の子







女の子は学校へと向かい



男の子は空へと消えました



それは美しい白でした
















約束するよ




また会う日まで










.




ーーーーーーー


あとがきと言う名の謝罪


19991ヒットリクエスト



遅くなりすいませんでしたーーーーーーー!!


( ; ゜Д゜)


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