キリリクの部屋

□君のためなら
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〜君のためなら〜






ワォーン!!



『…あー、犬が吠えてる、狼かな?』




夜もどっぷり耽り綺麗な満月が顔を出す頃



ぐぅー



『…お腹空いたなぁ』




私迷子になりました





ーーーーーーー







「コンコンッ」



『丁君風邪?』


「いえ、少し咳が出るぐらいです」

そう言ってる間もコンコンッと咳が止まらない丁君

気のせいかな、いつもより顔が赤いような気がする


『丁君、今日は休みなよ、このままだといつか倒れちゃうよ?』


「この位平気です、それよりも早く外へ出てください、部屋の掃除ができません」


邪魔ですと言って半分無理矢理丁君にグイグイと外へと出された私はトボトボ一人歩き出す



丁君、あれ絶対風邪だよな…

あのまま働き続けてると絶対に倒れちゃうよ



どうしたものかと歩きながら悩んでいると




「ほぉ〜、それは本当かい?」

「あぁ、間違いねぇ」

『?』


何やら大人たちが話しているのが聞こえてきた


私はなんだと立ち止まり聞き耳を立てると



「それで本当に病は治ったのかい?」

「あぁ、本当さ、なんでも子供が病に掛かっちまって倒れたらしいが、婆さんが食べ物変わりにその草を煎じて飲ましたらその子供は次の日ぴんぴんしていたらしい」


あんなに咳き込んで、顔も熱かったのになぁと呟く大人達に私は思わず話に食いつく



それって風邪に効く薬草じゃ…!


『あ、あの!』






ーーーーーーー



『薬草〜、薬草〜、』


あれから大人達に薬草の特徴を聞き出した私は森に探しに入った


なんでもその草はここら辺ではあまり見かけないらしく、白い花をつけているらしい


『はぁー、見つからないなぁ〜』



諦めて果物でも採って帰ろうかとも考えたけれど頭のなかに先程の咳き込む丁君を思い浮かべてしまいもう少しもう少しと探し続ける


そして空が橙色に代わり出したその時



『!見つけた!!』


雪はとうとう花を見つけた


だが





『…えぇ、まじですか』


それは崖下へと続く壁から生えていた



『いやいやこれはないわぁ…』


一応下に地面は見えるけどこれはちょっと…
落ちかたによってはこれは死ぬよ…




けれど日はもう暮れ始めこれをもって帰らなければ手ぶらで帰ることになる


頭に思い浮かべてしまうのはやはり丁君の辛そうな顔


そう考えてしまうと



『あぁー!!したかない!!』



取りに行くことしか選択肢は残っていなかった









ビュォォオオ!!



『……』


ギシギシ




はい、ただいま消防隊もビックリな降下術を繰り広げています

木に蔦をくくりつけ、自分にも蔦をくくりつけ後は崖から降りていく





うん





“デッド・オア・アライブ”





怖い、めっちゃ怖い

横風が急にビュービュー吹き始めてきたし!!
なんか蔦がミシミシいってるし!!


私がそんな葛藤を繰り返してると



『あ!見えた!』


薬草のすぐそばまでやって来た


私は片手を花へと手を伸ばす
けれど私はこの時子供の身体を呪った


『…と、届かないだと!?』


私がどんなに手をパタパタとばたつかせても残り拳一つ分届いていなかった




『も、もう少し、もう少しぃいい!』



私は蔦を思いっきり握りながら手をこれでもかと伸ばす


くっ!

頑張れ、私の中の何かぁぁあ!



そんな私の願いが叶ったのか




ガシッ


『!や、やった!!』


遂に薬草に手が届いた



さぁ、後は登るだけだと気が緩んだ瞬間





ブヂッ



『…ん?』





何か今嫌な音が聞こえたような…



どうしよう、上見ようかな?けど見たくないな…


私は恐る恐る上を覗いてみると…




ブチブチブチ



今にも切れそうなthu・ta★


私は見たくなかった現実に思わず泣きそうになる


そして




ブチン






『ぁぁぁあああ"あ"あ"!』







ーーーーーーー




『まさかホントに蔦が切れるなんて…』



けど、



カサッ




採れて良かった

雪は眼を細め花を見て小さく微笑んだ

これで丁君少しでもよくなったらいいな…





崖から落ちた私はしばらくの間気絶していたらしく辺りはもう夜へと変貌していた


周りに木の破片とかが落ちているのを見るとどうやら私は落ちている途中木にぶつかったりして衝撃が押さえられなんとか助かったらしい






どこのギャグ漫画だと思いながら立ち上がろうとすると


『…ッ!!』

右足に激痛が走った


思わず蹲り足を確認してみると


『…うわぁ』


右足の脛が赤黒く腫れ上がっていた

これは本格的にヤバイかも…



誰も居ない真夜中の森の中

動けない私

そして




グルルルルッ




腹を空かせた狼たち











……





はい?





私は驚いて声が聞こえた方へと向くと





『こ、コンバンワ…』





狼の群れがこちらを見て涎を流しながら唸っていた



私は急いで立ち上がる
足の痛みだなんて気にしていられなかった



このままじゃ









喰われる





すると私が走り出すと狼たちも吠えながら追ってくる



怪我をしてうまく走れるわけがない私は直ぐに



『…あっ!』


ドサッ


足が絡まりこけてしまった


その間に狼たちは私を囲む


慌てて起き上がってももうそこに出口はなかった



すると一匹の狼が私に飛び掛かる

私はその体重に耐えきれず頭から身体を打ち付けた

その衝撃で手にしていた薬草を手放してしまう



『!』


狼たちは食べ物と勘違いしたのかそれに近づこうとする


『う、うわぁぁああ!』

キャインッ!!


私は上に乗っている狼を蹴りあげ手を伸ばし薬草を掴む


怒った狼たちは私の服へ噛みつき首を左右に振り回す


恐怖に私は思わず眼を瞑る




私はここで死ぬのだろうか?

けど


こんなときにも丁君との思い出が頭を過る
これが走馬灯というものだろうか?




私はこの薬草だけは手から離したくなかった





そして私の服をボロボロにした狼たちは私の身体を押さえつけ
その鋭い牙を向け私の首へと襲い掛かる









あぁ










丁君…












私が諦めかけたその時



ガンッ!!



キャインッ!!


『!?』


大きめな石が飛んできた



私は首だけを動かしそちらを向くと



『!ちょ、丁君!?』


「…貴殿方がお腹を空かしているのはわかります、ですがその方を食べないでください」


私もできる限り貴殿方に石をぶつけたくないのです




片手に火をつけた木の棒を持ち
もう片方の手に大きめの石をもったさっきまで考えていた無表情な丁君がいた





さっさとその方から離れてください


そう言うと丁君は火が灯った松明を右へ左へと振り狼達を驚かす

狼たちは火を恐れ私からゆっくりと離しそして逃げていった




ーーーーーーー




狼たちも逃げ帰り辺りは私と丁君だけ


二人はどちらからも喋らず

ただ黙っていた


そんななか


『あ、あはは、ごめんね丁君』

ビックリしたよ〜ありがとう助かったよと笑って丁に話しかける雪



それを聞いた丁はピクリと反応して


「ビックリしたですって?」


グイッ!


パンッ!!


『…ッ!!』

雪の襟首を掴み力一杯ビンタをした


『…えっ、』


驚いた雪は丁を見ると



「あと少し遅かったら死ぬところだったのに何をヘラヘラ笑っているんですか!?」

いつもの無表情とは違い眉を寄せ怒りを露にし##name##を睨み付ける丁がいた


雪は思わずビクッ身体を怖ばらせた
自分の方が何倍も生きてきた筈なのに、それほど丁の顔は迫力があった




「…遅くなっても帰って来ませんし、探しに来たら狼に襲われてるし!身体中傷だらけですし!!」



恐くて震えているのに何を笑っているんですか!



そう言った丁君は凄く恐くて



『ご、ごめん…』


思わず謝った



すると丁ははぁ〜とため息を吐き







「あまり、心配かけさせないでください…」



座り込みギュッと雪の服を掴んだ


その掴んだ手は微かに震えていて



『…めんなさい』



ごめんなさい

ごめんなさい


『心配かけてごめんなさい!!』


雪はうわぁーん!と子供のように声をあげ泣き丁へと泣きついた



うわぁぁああん



真夜中に響き渡る子供の声

けどその声は決して悲しいものではなく


「……(ポン、ポン)」

『ひっく、ひっく』

どこか心地のよいものでした

手に握った花は少し萎れちゃっていたけれど



それは水の滴でキラキラと輝いていました










いったい何をしていたんですか?足も大変なことになってますし…



…丁君の薬草を集めてたら崖から落ちちゃって


…仕方がないので背中に乗ってください
えっ!だ、大丈夫だよ!歩く!


スパン

ッ●▽◆☆ー!!、

その位で痛むんですからさっさと背中に乗ってください

は、はい…




月明かりに写る影
その二つの影は重なって
トコトコ影とのおいかけっこ






そんな理由だと怒るに怒れないじゃないですか




家についた雪はこっぴどく怒られ暫くの間は家からでるのを禁止された


そして雪がとった薬草は煎じて丁が頂いてすっかり調子がよくなったとさ


おまけ



どこへ行くきですか?

ちょ、丁君!

いっておきますが、これから禁止令が解除されるまで監視しますからね


さ、最強の警備兵!!

ーーーーーーー

あとがき

5000hitリク
書けました!!感想…長!(゜д゜)
名前はありませんでしたがリクエストして頂いたお客さまいかがでしたでしょうか?φ(゜゜)ノ゜
内容のヒロインピンチに丁君助けるでしたが…、い、石は投げないで下さいませ!!!((((;゜Д゜)))

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