短編

□僕が人じゃなくなっても…
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「…すぐに戻ってくるから、だからそれまで…それまで頑張っているんだよ?」


『…ハイ、白澤様』







〜僕が人じゃなくなっても〜






これは昔々

まだ金丹という万能薬ができる前のお話です



ーーーーーーー




昔々、一匹の神獣がおりました

その神獣は毎夜毎夜と天女達と遊んでおりました

ところがうっかり、足を滑らせ現世へ落ちてしまったのです




落ちた神獣は急いで人へと化けました


そんな時


『あの、大丈夫ですか?』



一人の人間

女の子と人へと化けた神獣の出逢いでした


それは雪降る寒い季節のことでした










「シロちゃんただいま!」

『お帰りなさいませ、白澤様』




神獣が落ちたあの日、シロと呼ばれた女の子は怪我をしていた神獣を家へと連れていきました


『何もない家ですが怪我が治るまでどうぞ休んでいってください』


そこは最低限の物しか置かれていない人里離れたあばら家でした


神獣は女の子の誘いに喜んで受け、怪我が治るまでそこに住まわせて貰うことにしました



『貴方様のお名前はなんですか?』


神獣は答えます


「僕の名前は白澤、白澤だよ?」





それから二人での生活が始まりました


シロは畑仕事をしながら懸命に白澤を看病しました

そんな彼女が着ている服はいつも質素で年頃の女の子なら化粧をしているのにその女の子は紅すら塗っていません

家の貧しさが眼にとれます


ですが白澤はその懸命な姿に、飾らない笑顔に、その暖かな純粋さに引かれていきました


そしてシロも優しく暖かい彼に引かれていきました





そして二人は恋をしてしまいました









「今日は野菜がたくさん売れたよ」

『うわぁ、すごいですね、きっと白澤様が優しいから皆さんも買って下さるんでしょうね』


いや、シロちゃんが端正込めた作った野菜だからだよ




そう言ってシロに寄り添う白澤は壊れ物を扱うようにそっとシロを抱き締めた



「愛しているよ」


『…私もお慕いしております』



雪が降り積もる人里離れた小さなあばら家
二人はひっそり暮らしていました




白澤はこの今まで感じたことない幸せを噛み締めました







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