コナン

□シレネの花束に一輪の勿忘草を
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episode.00

〜prologue/金曜日の出来ごと〜


「悪いが、もうお前の恋人ごっこに付き合っていられないんだ」


それは

恋人として貴方との関係は長いものではなかったけれど私にとってかけがえのない時でした


けど、それを貴方はごっこと言って、突然、私の目の前から消えていった




付き合っていた時も、会える回数なんて両手で足りる回数で恋人らしいこともあまりできなかった私達



会えない夜に何度も泣いたのに

別れる際
酷いことを言われた筈なのに

別れて良かったんだと頭の隅ではわかっている筈なのに




「            」


あの日、貴方が呟いたあの言葉だけが

忘れられず、今でも私の耳に残ってる



あと、一度だけでいい…、貴方にあって話をしたいが為に

今も貴方を探し求める




お願いだから


もっと貴方に相応しい女性になるから



もう、何度も会いたいなんて言って貴方を困らせることをしないから




あと、一度だけでいいから…







貴方に会いたい








そう思って見える姿は


小さな頃から憧れたあの人の後ろ姿で

私は思わず手を伸ばし、走り出す



けれどそれは距離が短くなる処か遠くなるばっかりで


私は咄嗟に口を開こうとするが、閉ざしてしまった






あれ?



今、私誰を呼ぼうとしたんだっけ?



あれ?




なんで私こんなに焦っていたんだっけ?




あれ?








そもそも私って、


















ーーーーーーー


ズキンッ


『……う″ッ』


鈍い痛みが頭に響く、

それと同時に意識がハッキリとしてきて、眼が覚めると


「あ、貴女眼が覚めたのね!良かったわ…」



『……ここは…』


そこは真っ白い天上と部屋を仕切るカーテンそして



「ここは病院よ、貴女、昨日階段下で血を流して倒れているところを、帰宅途中の先生が助けてくれたのよ。今先生を呼んでくるからね!!」


優しい顔をした看護婦さんが立っていた


私がなにかを言う前にその人は

先生!先生ー!!


そう言って看護婦さんは急いで部屋を半ば叫びながら飛び出していった



私は昨日の出来事を思い出そうとする


けれど


『あれ?思い…だせない?』



昨日だけでなく、その前の日も、そのまた前の日も私は何も思い出せなかった


なんで?どうして?


そんな疑問を頭に抱いていると
私を診てくれたと言う男の先生がさっきの看護婦さんに連れられてやって来た




その姿に私はパニックになりそうな頭を自分に言い聞かせ、先生に事情を説明する


すると先生に



「…貴女、今自分の名前を覚えていますか?」



そう聞かれた



それは覚えている

私の名前は


名前は



『……あれ?』






私の名前って










何だったっけ?




先生は今はゆっくり休んでください


それだけ言うと部屋から出ていった





外は綺麗な空なのに…


今の私とはまるで正反対で


私はいつの間にか一人静かに泣いていました



.
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