☆★小説★☆

□『夢』
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貴方と話す度、私の考えは少しづつ貴方の手の中に転がりこみ、結局最後には貴方の手の中に収まってしまう。
だけど、今日こそは負けない自信があった。


「夢なんて、持ってても所詮邪魔にしかならないものよ。叶いもしない夢を抱いて、一体何になるって言うの?所詮キレイごとでしかないのよ。夢なんて、見ているだけ時間の無駄。それでもまだあなたは夢なんて見たがるの?」


すると、貴方は持っていたシャンパンのグラスを置いてこう言った。


『君は何か勘違いをしている。夢はそんなものじゃない。もっと素敵なものだ。』


私はちょっとムっとした。


「私が何を勘違いしているって言うの?あたしが夢を知らないとでも言うの?」


すると貴方は困った顔で、


『そうじゃない。だた、君は僕より夢について興味がないからそう思うんだ。
もっと興味を持てば、夢がどんなに素敵なものか分かるよ。』


そう言うと、貴方はシャンパンを飲みほした。


「私が夢に興味をもってないですって?じゃぁ、貴方はなにか夢を持っているって言うの?」


その頃、私はいらだちをかくせずにいた。そして貴方が傷つくことをいつの間にか口走っていた。


「貴方は忘れたの?あんなに大切にしていた夢が叶わなかった事。どんなに頑張っても叶わなかったあの夢を・・・
まだ懲りずにくだらない夢なんて追いかけてるの?いい加減諦めたら?」


言い終えて、気が付いた時はもう遅かった。
貴方は一瞬辛い顔をし、うつむいたまま何も言わなかった。


「ごめんなさい・・!私、思ってもいないとを・・・」


貴方は辛い表情を噛み殺した笑顔で、


『いいんだ。気にしないで。それに事実でもあるのだから。君のおかげで思い出せた
よ。ありがとう。』


なぜ?
私はそう思った。そして知らないうちに心のうちを口に出していた。


「なんで・・・?」


『え?』


「なんでありがとうなんて言うの?私は貴方を傷つけたのに・・・
なんでありがとうなんて言うのよ!!」


知らないうちに涙が出ていた。
零れ落ちそうになる涙を必死でこらえた。
けれど、涙はこ
らえきれずに私の頬をつたって零れた。


『なぜ泣くの?僕のせい?』


私は大きく首を横に振った。


『ならどうして泣くんだい?』



それは・・・




「貴方が大切だから・・・」




貴方はびっくりした顔で、 


『え・・・?』


と言った。
続けて、


『それはどういう意味・・・?』


と不思議そうな顔を浮かべ、私に言った。
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