桜蘭高校ポケモン部

□異世界の少年少女
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鏡夜

頭が痛い。

吐き気がする。


そんな、先ほどまでの感覚が引いていく。少し冷たくなった額に手を当てて、俺は目を開けた。

「…あっ……気がついたのね!?」

一番手前に日焼けした可愛らしい少女。
その隣に帽子をかぶったやんちゃそうな少年。
そして、後ろの方に緑の髪と目をした大人しそうな青年。

「……メガネをくれないかな?」
「あっ、はいっ、これッ…」

俺は身体を起こして、少女から手渡されたメガネをかける。

辺り見渡すと、何か黄色いネズミのような生き物と目が合った。

……まてよ?こいつ何処かで…?

『………ピガぁ…?』

俺が凝視していたのが不思議だったのかネズミは首を傾げた。

……ぁあ、なるほど…今の鳴き声で確信した。


ここは現実では無い、夢でも無い、異世界だ。
つまり、俺はトリップしたらしい。

「あの……大丈夫ですか?」

俺が何も言わないからなのか、青年が心配して尋ねてきた。

「あぁ、大丈夫です。助けていただいてありがとうございます。」

俺がそう言うと少女が真っ先に喋った。

「あ、当たり前の事をしたまでよっ!
ぇ…と…その、あなたの名前は?」

少女は元気に言う。

助けられたんだ、名前を名乗るのは礼儀というものだろう。
それに彼らの名前を知る事は、俺にとっても《利益》がある。

「鳳 鏡夜です。鏡夜で構いません。
皆さんの名前は?」

俺がそう言うと、少年が最初に名乗った。
「俺!マサラタウンのサトシです!こっちは相棒のピカチュウ!!」

続いて少女が少し照れながら名乗る。

「わ、私はアイリス!こっちはパートナーのキバゴよ!」

最後に青年が優雅にお辞儀をして名乗った。

「僕はポケモンソムリエのデントです!」
「サトシ君、アイリスさん、デント君か、手間をかけてしまいましたね。」

「俺はこれで……」と、言いかけて止めた。


彼らについて行く事はやはり俺にとって、《メリット》がある
この世界では俺一人でどうしようも出来ない。

「いきなりですまないが、俺を君達に同行させて頂けないだろうか?」

俺がそう言うと、アイリスが嬉しそうに返す。

「も、勿論よ!好きなだけ一緒にいていいわよ!!ね!サトシ!デント!」
「あぁ!いいぜ!仲間は多い方が楽しいもんな!!」
「僕もそれで構わないよ!その方が良いテイストだ!」

当分は大丈夫だな。
などと、考えているとデントが俺に言った。

「キョーヤ、仲間だから敬語は無しでね♪」
「じゃあ、そうさせてもらおうか。」

俺はサトシ達について行く事にした。
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