桜蘭高校ポケモン部

□灰色の心
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デント

ここはシッポウシティの宿舎
僕は、ミノルが眠っているベッドの横に
一人で座っていた
静かに眠るミノル

あの後、サトシもアイリスも、ホスト部の皆も、ロケット団でさえ、ミノルを助けようと行動したのに
僕は、……只、ミノルを抱いて走るしかできなかった

「…君を…助ける…って…誓ったのに…。」

何も助けれていない
何もできてない
Aランクポケモンソムリエ?
ジムリーダー?

だから何だ。

そんな力いざという時に使えなければ意味がない
ハルヒが連れていかれそうな時
光と馨はすぐに助けようと向かった
環もだ。
使いなれていないポケモンを使って

じゃあ、僕は?

サイコキネシスでミノルが叩き付けられた時
僕は只見てるだけだった
咄嗟に動く事もできなかった

「僕は…無力だ…ごめんね…ミノル。」
「……デントは…悪くない…。」
「え?」

僕がミノルを見ると
ミノルは薄く目を開いてこっちを見ていた
そして、ゆっくり起き上がった

「…!?…ダメだよっ!…まだ寝てなくちゃ!!」
「大丈夫っ…もう、平気だから。」

そう言ってミノルは笑ったけど
すぐに、悲しそうな顔をした

「僕が…全部悪いんだ。皆を巻き込んでしまったから……それに、デント…が居たから…僕は…戻りたいって……。」

ミノルはいつになく真剣な顔で言った
でも、黙ってしまった

「…ごめん。そのせいでハルヒ達が……。」

ミノルは下を向いた

「皆の所に、デントの所に戻りたいって…だけの僕の我が儘のせいで…。ごめん。」
「…ミノル…。」

僕はそんなミノルがいとおしく思えた
気がつくと僕はミノルを
そっと抱き寄せていた

「ミノル…。ありがとう。僕の所に戻ってきてくれて。」
「…デント…ぼ………僕…ぅ……。」

どんなに男っぽく喋っても、強がっても
その肩は小さくて、細くて
こんな小さな背中で
背負い込むのはどんなにつらかっただろう
肩を震わせてるミノルが
今にも泣きそうなのは顔を見なくてもわかった

「一人で背負い込まなくて良いんだ。今だって、泣いても良いんだよ?」
「ぅ…デント…うああああああぁ…ぁあ…!」

ミノルは大きな声で泣きだした
そんなミノルを僕はずっと抱きしめていた
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