桜蘭高校ポケモン部

□灰色の心
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デント

僕は手を握りしめた

「…また…君を…行かせてしまった…。」
「……デンちゃん…。」

ハニー君が心配そうに僕を覗き込んだ

「……あ!!!!!!!!!!」

すると、光がいきなり大声をあげた
僕は驚いて光を見た

「…あいつ…結局ハルヒを返さずに帰りやがった!!」

それを聞いて環が顔を歪めた

「最初から、そのつもりだったか…ッ…!」
「……それは違います…。」
「「…!?…」」

僕達は突然聞こえた声の主を確認すると
すかさず身構えた
何故なら、そこに立っているのは
先程、去って行ったシアインの手下
…確か…カミルって名前だった

「彼女はちゃんと最初から、ハルヒをミノルちゃんと引き換えに返すつもりでした。」
「へぇ…で?…何しに来たんだい…?」
「あなた達に用事があって来ました。」
「…用事?」

僕が訪ねると
カミルはいきなり地面に手をついて
土下座した

「お願いします!!…シアイン様を…彼女を救う為に…あなた達の力を貸してください!!」

僕はいきなりの事に驚いた
すると環はカミルを見下ろして質問した

「救う?…つまり、止めるって事か?…何故、急に。」
「僕はずっと…彼女を傍で支えてました…でも、気が付いたんです…ハルヒと話をして…自分が本当にするべき事が何か…。」
「ほう、だが、君の頼みを聞く…理由が無いな。俺達からしたら、ハルヒやミノルを苦しめたシアインを、救うなんて、あり得ない事だ。」
「……っ…。」

カミルは顔をあげて環を見た

「…お願いします…僕にはもう、あなた達以外に頼れる人がいないんです…。」

再び頭を下げるカミル
すると、何処からともなく声がした

「…先輩…皆…自分からも…お願いします。」
「……ハルヒ!?無事だったのか!?」

環がハルヒに駆け寄る

「…自分は無事です。…どうか、カミルさんの頼みを聞いてあげて下さい。」
「…ハルヒ…だが、シアイン達のせいで…お前やミノルが……。」
「…でも…俺はともかく…デントが…。」

環が僕の方を見た
僕は目を閉じた
確かに、ミノルがつらい目に合ったのは
シアイン達のせいだ
はっきり言って許せない
でも……

「君は、彼女の味方だったんじゃないのか?…裏切っていいのかい?」


すると、カミルは真剣な顔で僕達を見た

「本当に、彼女の事を想うからこそ、僕が彼女を止めなきゃいけないんです!!」
「…だから…協力しろ…ってかい?」

納得は出来ない…
だけど…彼の気持ちはわかる
僕が考えていると
環がカミルに尋ねた

「……君は…彼女がどうして、あんな風になってしまったのか…知ってるのか?良かったら…俺達に話してくれないか?」
「………はい。全てお話しします。」

僕は協力するかは置いておいて
とりあえず、カミルの話に耳をかたむけた
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