裏僕小説その3

□「第二回DYIM会議延長戦」
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「そして二位の斎悧だが、これも言わずもがな、だろう。彼は女性の扱いに長けているからね。殊更夕月に対しては全てを尽くして彼を満足させるだろう、私の次に。テクニック、愛情共に申し分ない」

「光栄です、天白様」

斎悧は満足気に微笑し、恭しく礼を捧げた。

「次に三位の九十九。優しく思いやりがあり、行為に自分を見失う事もない。これは前回の斎悧と同じ理由だな。彼の上位は揺らがないよ。そして私のお気に入りの子だ」

「ありがとうございます、天白様」

九十九も素直に礼を言い、満面の笑みを見せた。

「四位の遠間だが、彼はとても誠実に夕月に接してくれるだろう。技術としては及第点だが、愛情の深さや夕月との絆が戒めの手に一歩及ばない」

「そっ、そんな僕などにお褒めのお言葉など勿体無いです!それも、よ、四位だなんて…この喜びを末代墓まで持っていきたいと思いますー!」

遠間はしきりに恐縮しながらも、ニヤけて崩れた顔で天に向かって叫んでいた。

「かっちゃん叫び過ぎだヨー。で、なんで僕は五位なのヨ。かっちゃんより下ってどんな理由?」

「お前は夕月に対しての愛情が足りない。テクニックは中の中、思いやり気遣いその他平均点だ。次回までに夕月のとの交流を深めて信頼を得ておくように」

「は〜い‥って宿題ぃぃ!?総帥は僕の本気を知らないんだヨ!」

「はい橘さん、少し黙ってください。‥天白様、何故俺と千紫郎さんが同順位なのですか」

「それも前回より大幅に下がっていますが、遠間さんや橘さんよりも下位だとは…是非納得のゆくご説明をお願い致します」

二人は冷静を保ってはいたが、その声音は場の空気が凍りつく程に冷え切っていた。

「ははっ、笑顔が怖いぞ二人とも。君達が同点六位なのは似た者同士だからだ。夕月への愛情、テクニック、これらは申し分ない。この点のみを評価するなら九十九、斎悧と同順位だ。だが決定的に違うのは、君達二人の『攻』の部分が強過ぎるという事だ。一度箍が外れてしまえばサディスティックな面が表面化する危うさがある。これは君達の個性なので否定はしないが敢えて言うなら課題はそこだな。夕月の身体を大切にするように」

「‥‥長々とご説明ありがとうございます」

その場に立ち込める冷気に身震いしたのは、きっと気のせいではないだろうと全員が思った。

「成る程。これはそういう順位なのは理解出来たが‥天白、この言外なワースト二人を除いたら俺は実質最下位じゃねえか!お前は俺の親友だろう!何年付き合ってると思ってんだ!」

「私は公平に厳選をしたまでだ。彌涼に特にコメントはない。お前はただの変態だ。危なくて夕月に近づけさせられない」

「ってコラー!誰が変態だ!おい、お前らも頷いてるんじゃない!」

彌涼は納得がいかないとばかりに喚きたてる。

「天白っ!」

ばんっと力任せに机を叩き、焔椎真が拳を震わせた。

今まで沈黙を貫いていた黒刀も、焔椎真と向かい合い臨戦態勢を整えている。

「天白、てっめえなにが公平な判断だ。結局独断と偏見の産物じゃねえか!俺が最下位ってフザケてんのかーー!!」

「僕がこのようなサルに劣るとは思っていませんが…順位が上がらないのは納得が出来ません。そこの変態主治医よりも評価が下とはどういった理由からでしょうか」

「まったく若い者は血の気が多いな。彌涼は確かに変態だが、知識や経験はそれなりにあるし、夕月を傷つける事もない。だが君達は‥聞いたぞ。前回の騒動で黄昏館を破壊する勢いだったそうじゃないか。夕月への配慮よりもお互いの対抗心が勝ったのだろう?」

「うっ‥それは」

「申し訳ございません…」

返す言葉も見つからず、二人は反省の色を浮かべて項垂れる。

「反省しているならば、責めるつもりはないよ。さて、これで順位表は完成だ。中々面白い会議だったよ。結論としては、私ほど夕月を満足させられる相手はいないということだ」

「あの〜、十瑚さんとリアさんがいらっしゃいませんが‥」

「ああ、あの二人は別ジャンルだからね」

遠間の疑問を軽く流し、天白は手を打ち雑談を終息させる。

「では、これにて閉会―」


どーーんっ!!!
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