裏僕小説その4
□カデンツァ×エレジー「享楽」
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「ああ…っイイわ…すごくイイっ…!」
女の細い肢体が、男の躰の中で歓喜に震えていた。
カデンツァの長い指はエレジーの蜜壺の奥を揺さぶり、滴る蜜液が男の指と、女の性器を淫猥に濡らしていた。
脚を広げ、膝を立てた女は、先程から男の指戯に甲高く喘いでいる。
陰唇を広げた膣の中に、中指が抽送を繰り返し、挫いた先で執拗にGスポットを擦り上げている。
ふくよかな乳房には男の顔が埋まり、白雪の肌に深紅の痕が幾重にも散っていた。
男の牙が乳首を愛咬し、強い刺激に女は大きく腰を仰け反った。
「ねえ早く挿れて、苦しくて我慢できないわ」
女はとうとう牙城を崩し、両腕を広げて男に抱擁を迫る。
カデンツァは官能に溺れた顔を蔑む様に眺め、彫りの深い顔に凶暴な雄の色を現した。
「女という生き物は限りなく矮小で、どこまでも貪欲だな。快楽を求めてキリがない」
「あらっ、あなただって貪欲という点では同じでしょう?人間の負の感情に悦びを求めて、滴る鮮血に享楽を貪る……こんなに悪趣味で倒錯した男は他にいないわ。私、嫌いじゃないのよ」
滔々と語るエレジーに、愛という愚かな感情はない。
求めるものは極上の快楽と、嗜虐的な美意識のみ。
女に捕食されることは男の性。
それを理解しているカデンツァは、あえて女の糸に絡むことを選択する。
「至上の愉悦こそが全て。お前の胸を噛み千切って、淫楽の底に叩き落とすのも悪くはないな」
「…解っているじゃない」
熟れた柘榴の様にふっくらと色づいた蜜壺に、カデンツァの猛々しい雄の凶器が包まれる。
「ああっ…そうよ、コレが欲しかったの…!」
粘膜を押し広げて侵入する男根に、エレジーは待ちに待った歓声を上げた。
「大きくて最高よ!やっぱり男はこうでなくちゃ…壊れる程に、強く突いて…!」
「望みとあらば」
エレジーの腰を掴み、カデンツァは浅い突き上げで、括れを使って膣内の襞を擦り上げた。
Gスポットを巧みに突き、収縮する入口が男根を締め上げる。
エレジーの下腹が悩ましげに上下し、青白い肌が恍惚の色に染まり始めた。
「ああっん…イくっ…」
ビクビクと躰を痙攣させ、真珠の汗が宙に跳ね、女に何度目かのオーガズムが訪れる。
男の律動は止まず、根元まで埋めた男根を深々と内奥に突き立てた。
「はっああっ…最高よカデンツァ!あんっ…またイっちゃう…っ」
亀頭が子宮付近をコツコツと突き、下腹から湧き上がる強烈な刺激に、女は深く狂態に溺れていく。
カデンツァの逞しい腕にしがみつき、自ら唇を塞いで口付けを貪った。
男の口腔に舌を入れ、味わうかの様に唾液を啜る。
ねっとりと絡ませ合った口付けはそのままに、律動は突き上げの激しさを増し、時に緩急をつけて女を悦ばせた。
繋がりあった躰は人間の営むセックスのようでいて、その実、人間では辿り着けない高尚な悪魔の営みを感じさせる。
美しい裸体が絡まり合い、体温を持たぬようでいて、内部の灼けた熱を求める姿が、なにか世界から遊離された情景を思わせるからかもしれなかった。
放たれた男の欲望は、女の内奥に植えられ、精子を搾り取ろうと襞がきつく締め上げる。
長い爪が、狂おしい快楽に任せて男の背中に創をつくる。
何度もオーガズムに導いた後、男は男根を引き抜いて、女の股間に顔を埋めた。
剥き上げた快楽の芽を舌先で突き、熟れた果肉を啜っては舐め、女はうっとりと眸を閉じる。
「やはり女は淫乱で、貪欲だ」
艶やかに湿った男の髪をかき上げながら、艶麗な柳腰は淫らに踊る。
「あなた限定で…ね。もっともっと愉しみましょうよ。どうせ夜は明けないんだもの、私もあなたを快楽の底に叩き落としてあげるわ…!」
「やってみろ。溺れて堕ちるのはどちらが先か…男と女の攻防と行こうではないか…」
カデンツァの嘲笑に、エレジーは蠱惑の笑みで勝負を仕掛け、二体の悪魔は性と精の狭間にある深淵の底へと沈んでいった。
「くだらないわ。愛なんて」
鈴を転がす様な音色を、男の耳許にそっと囁いて。