裏僕小説その4
□夕月×エレジー(男)「幻想」
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「あーあ、つまんない。ナニか刺激的なコトが欲しいな」
気怠い溜息を吐き、エレジーは甘えた様な視線を向けた。
「ねえカデンツァ、僕の相手をしてよ」
シルクの髪をかき上げれば、血の通わないほっそりとした項が見え隠れし、線の細い少年の色香を魅せる。
「悪いがお前の相手をする趣味はない。他を当たれ」
だが男は、目の前の、同性でさえ惹き寄せられる美貌には目も暮れず、向けられた媚艶の眼差しを一蹴する。
「僕じゃ相手にならないっての?失礼なヤツ。ああ、そうだよね、お前は趣味の悪い変人だから、あの追っ掛けられている坊や達じゃないと勃たないんだろ」
挑発的な言葉を投げ捨て、形の良い小ぶりな唇をなぞる。
一向に自分を振り向かない男に、エレジーはつまらなそうに鼻を鳴らし、「そういえば」と細い腕を組む。
「お前、神の光に会ったんだろ?今世は男だって聞いたけど、どんな感じ?ルゼは教えてくれないからさあ…あっそうだ、イイこと思いついた!神の光と遊んでこようかな、楽しい時間が過ごせそうだし!」
クスクスと笑い出したエレジーは、新たな遊びを覚えた子供の様に瞳を輝かせ、カデンツァに固定された視線は年齢らしからぬ妖しい光を帯びていた。
「ねえ、教えてよ。みんなの大事なお姫さまが、快楽の前ではどんな溺れたカオを魅せるのか…すごく楽しみだよ」
男の顔に、少年の長い指先が掛かる。
不愉快そうに少年を見つめる深紅の瞳を捕らえ、エレジーは陶然と呟いた。