裏僕小説その5
□「メリークリスマス!みんなが幸せになれますように」
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20日 午後
「でっ…でっけえ…」
「総帥ったら…どーんっとおっきいのとは言ったケド…日本記録でもつくるつもりなのカナ」
午前中、大勢の業者によって中庭に運ばれたクリスマスツリーに、住人達は揃って呆気にとられていた。
中庭の敷地を窮屈に占領する人工クリスマスツリーは、一日がかり、職人総動員で組み立てられ、黄昏館の一番高い塔の先まで届きそうな高さに仕上がった。
街の有名どころのイルミネーションも顔負けな、派手なLED電飾が巻かれ、「皆で飾りつけを楽しめるように」と、いう天白の余計な気遣いで、オーナメントの数々が詰められた段ボールが五十箱以上はある。
「あっはは…。総帥の金銭感覚を甘く見ていたネ」
「俺らで全部飾れってのか!馬鹿かあいつは!」
苦笑する橘と憤る焔椎真の横で、イベント大好き女性陣は、超巨大ツリーを前にはしゃぎあっていた。
「USJもビックリの素敵なツリーじゃない!天白様素敵!」
「今年は豪華になりそうだね。そうと決まったら、皆で役割分担しなくちゃ!」
「おい、勝手に決めてんなよ」
イベントごとにかけては女性を凌ぐ者はおらず、男性組は言われるままの使用人と化していった。