紹介

□雨の日の使い
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雨の日の使い




しとしとと静かに降り出した雨が、ザーザーと激しい雨に変わった時、落胆のため息がそこかしこから聞こえた
書く言う俺も、その溜息をこぼした一人でもある
今日は午後から市の祭りがあったんだけどな
この雨が長続きしたら楽しむことは出来ないだろう


「実都にぃ、実都にぃはやっぱり百佳さんと祭り行く予定?」

「ん?あぁ、誘われてる」

「ほー。相変わらずラブラブですな―」


商品を入れるための籠をカートに置き、右回りに進みながら目当ての商品を手に取る。
脇から勝手に入れられたきゅうりを戻し、紫姫の頭をひっぱたく
難でキュウリなんだよ


「俺の予定を聴くのは良いけど、お前はどうなんだよ非リア」

「非リアって言うんじゃないよこのリア充めが」

「で?どうなんだ?」

「んーっと…リッコと行く予定だったんだけどね、なんか第二のお兄さんとやらが現れて、その人と一緒に祭りに行くみたいなんだよねー」


私って友達少なくてボッちだわ―。とか言っている紫姫よりも、リッコ君の第二のお兄さんがものすごく気になります


「取り合えず、何かしらボッチにならない紫姫はほおっておいて、リッコ君の第二のお兄さんって何だよ」

「あぁー…なんか、臨時風紀の仕事で、玄武学園に行った時に会った人が、珍しいっていうか、痛いって言うか…まぁ、凛檎と陽さんと似たような名前だった見たいで、なんか意気投合して、いろいろ話して行くうちに兄妹でした―見たいな?あ、名字同じね」

「なんていうか、桐島家は名前がコンプレックスって言うのは分かった」


「りんご」に「ようひょう」だもんな
その第二のお兄さんの名前がものすごく気になります
が、今はそんな事どうでもいいのですよ。そんな事無事に家に帰った時に聞いたらいいと思うのですよ。
さて、どうしようか

自動ドアの先の真っ白な世界
雪ではない、つか、雪だったらまだ良かった

冒頭に言ったでしょう、雨ですよ
視界がホワイトアウトしちゃう位の激しい雨ですよ
こりゃ、祭りも延期だな


「兄さんやい」

「どうした、妹よ」

「すぐ止むだろ☆って言いながら家を出てしまった数分前の私達をぶん殴りたいです」

「そうか、俺もだ」


最終的に、ばったり会った陽水の車に乗せてもらいました
第二のお兄さん基第一の弟君の名前は鈴蘭という、なんだかとっても可哀そうな名前でした。


雨の日の使いでわかったのは名前って大切ってこと

と油断は大敵ってこと

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