紹介

□8号の輪
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8号の



「あ、秋良、言うの忘れてたけどさ結婚してよ」

「うん、取り合えず俺の夢壊すな」



なにが、言うの忘れてた。だよって言うツッコミより先にそんなセリフが出てしまった
なんでこうもあっさりと言っちゃうかねこの人は

プロポーズが女性の夢とか何とか、そんな事がテレビで流れていた時にそれは突然来た。
いや、ほんと、俺にプロポーズさせろよ。プロポーズして、泣きながらokされるのが夢でしたよコンニャロー。いや、まぁ、泣くことはないかなって思ってはいたけど

つか、言うの忘れてたって本当になんだよ


「え?なに?夢?何それ、そんなのあったの?女々しいわー」

「はー、お前はその女々しさが足りねぇなオイ」

「あは、ごめん?」

「取り合えず今のは無し」

「なんで?」

「後日改めて俺がやります」

「あははっは。はいはい、分かりましたよ―」


そう笑いながらソファを立ち、寝室に入る実姫を見て、はぁと呆れたの溜息をつく
何処までも適当なんだから…

あぁ、プロポーズどうしよう
何も考えて無かったなー
もう。何でもいっかな

ははっ、俺も大概、適当だな

とりあえずは、指輪かな?

よっこいしょっ、と年寄りくさい言葉を言いながらソファを立ち、財布を持って玄関に向かう
これでも結構な重役を務めてますんで、お金はあるんですよ?


____



『綺麗な夜景バックにプロポーズとか憧れますよねー!』
『そうですよね!ちょっとありきたりなところがグッときますよね!』


テレビの画面からそんな話題が出てきて、あ、と思いだした
そういや秋良にヤン様会議の話しをしてないなー
あー、説明面倒だな―

とか思っていたら、なんとなく口に出してた

結婚しよう

って
そしたらすかさず返してくれる彼はさぞかし驚いただろう
驚いて、でも何処かコイツ何言ってんの!?
って感じの顔を見て、失敗したな―って思う。私も女だ憧れてたりするわけで。でも取り返しつかないしな―
どうしようっかな

とか何とか遠く思っていても、口からは素直じゃない言葉が出てくるので、馬鹿だな―って思ったり



「取り合えず今のは無し」


「後日改めて俺がやります」



そんな言葉に嬉しさで口が緩みそうになる
でもそんな顔いましたらなんかおかしい
だから寝室に逃げてみる

あー。恥ずかしい



その言葉が一番の殺し文句だなー だなんて思ったなんて

バタンッと玄関のドアの閉まる音を聞いて、これまたさっき以上に口が緩んで顔が熱くなった


あいつ、私の指のサイズ分かってんの?


そんな疑問抱えながらあいつが帰ってくるまで起きておこーって思ってたのに、ガッツリ寝落ちしてしまった自分の指に納まるピッタリサイズの指輪を見て、キモイって言っちゃった私は悪くはないよね?


素直な私は私じゃないでしょ?


ありがとう愛してるこれからもずっと、貴方を

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