紹介

□赤い約束
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赤い約束



あ、と思ったら、伸びていた
何時かに切ったその糸が

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臨時風紀員
それは四神祭を行う際に結成されるものだったりする。
なぜそんなものがあるかというと、ずーっと昔に。というか、毎度毎度、問題が起きるもんだから、風紀を臨時的にでも増やさないとやっていけなくて結成されたそうだ

そして、そんな臨時風紀員になぜか入っている私
どういう理由か知らないけれど、風紀委員長に「あ、お前臨時風紀決定」とか意味分かんない事言われて風紀に入ることになった
おもに書類関係の仕事をさせられている


そんなある日の放課後、珍しく皆が用事があって早く帰り、風紀室で一人、書類をさばいていた時だった。カバンに入れていた携帯が鳴りだした


「レイさん、だれ―?」

『紫姫ぃー。委員長さんだってよ―』

「うわー。嫌な予感しかしない」


文字を書いている途中なので、変わりにレイさんに頼んでみたら嫌な奴からの電話
あの、委員長である
毎回、面倒な仕事を押し付けてくる委員長である
マジあいつ滅びればいいのに


「はい、なんですか」

<お、でたでたー。俺さ今第二会議室に居るんだけどな、書類持ってくんの忘れてな、お前持ってきてくれないか?俺の机にあると思うから>

「…はぁ……あぁ、有った、<2日目 午後>って書かれてるやつ」

<おー。それであってる、持ってきてくれ>

「はいはい」



少しイラッとしながらも、書類を持って会議室に向かった

勿論、なぜかレイさんも後ろをついてきているけれど



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ふと、違和感を感じた
電話を取ったその右手の小指
そこには相変わらず不自然な切れ方をした赤い糸が繋がっている

この糸を切ったのは俺
だから不自然なその糸に違和感を感じることはないのに
何だろうかとても違和感がある

じーっとみていたら、気付いた
何処となくこの前より長い
そしてシュルシュルと小さな音を立て、現在進行形で長くなっているのだ

それがどういう意味なのか、それは分からない
けれど、小さく笑ってしまう

あぁ、約束を守る前に、自ら結んでゆくのか、と


________


「………はいどーも、ありが……」

「…ぇ………あ、えっと…」

『…わーお』


第二会議室に付き、ドアを二回ノックする
すると、出てきたのは透けていないレイさん否、レイさんにとてつもなく似ている人だった

思わず驚いて固まると、なぜかあちらも中途半端に言葉を切って固まってしまった
何処かきまづい空気が流れ始めた時に、レイさんが何かをぽつりとつぶやいた、それがスイッチかのように、私と男の人が同時に動き出した


「…それが書類やね。柑那が君も参加させるって言っとるから、部屋に入って。俺は南 虎太郎や、君は?」

「えっと、小野寺 紫姫です。よろしくお願いします」

「うん、よろしゅーな」


そう言って、部屋に入り、それぞれ用意された椅子に座る
何だろうか。凄く違和感



____________



ドアが開き二人が対面したときにつながった


赤い糸が
俺の記憶が


ああ、何だって言うんだ
幸か不幸か
俺が諦める相手は“弟”だなんてね

二人のちょうど中間にある、結び目に指をはじく

こりゃ、完全に弟の方想い
頑張っていただきましょうか
この子、結構な鈍感なんだよ―


ほくそ笑みながら触ることの出来無い手で紫姫の頭をなでた
もうここにはいられなくなるんだろうね






アカ―イ赤い糸はつながった
勿忘草が散った時に、思い出すのは誰かの泣き声

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